IAR 80



930馬力 510km/h
IAR(ルーマニア航空産業)が1939年に初飛行させた、
ルーマニア初の低翼単翼の戦闘機で、ノームローンK14を
ライセンス生産したIAR14Kエンジンを装備。
胴体後部をはじめとしてかなりの部分を、ポーランドから輸入・
ライセンス生産したPZL・P24を流用し設計している。
全備重量でも2.7t程度の軽量で、零戦より一回り小型な機体
とあいまって、国産初の低翼単翼機としてはなかなか良い仕上り
になっている。 
初期の機体は12.7mm2丁と7.7mm2丁の武装だったが
後に20mm2丁と7.7mm2丁に変更された。
初期はエンジンや引込脚関係の、トラブルが多発したというが、
国産初の近代的戦闘機がトラブルフリーで飛ぶ事はまずなく、
ある意味あたりまえの事である。 それよりも、そのトラブルを
乗り越えて、この機体をMe109Gが飛ぶ時期にも、第1線機
として運用するまでに熟成させた事の方が脱帽である。
その頃には、1000馬力オーバーで560km/hを出すまでに
至った。 IARの底力は侮れないものである。
画像は、爆弾をプロペラ圏外に投下するフォークが付いている
戦闘爆撃機型のIAR81だが、基本はIAR80と変わらない。
後に多くのIAR81が純粋な戦闘機型に改修され、20mmを
装備して迎撃戦に参加している。
バルバロッサ作戦時に長躯ソ連まで出撃したが、米陸軍に
よるプロエスティ爆撃によって防空能力の底上げが必要に
なった為に、多くのIAR80がソ連方面から引き揚げ、以後は
プロエスティを含む本土防空を担った。
小型機ゆえに被弾からの被害も大きく、損害も大きかったが
戦後も練習機などとして1950年代まで運用された。


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