ランカスター



1280馬力4発 462km/h
戦争後期、イギリス軍の爆撃戦力の中核を占めた重爆撃機。
双発のマンチェスター機を全面改修した機体だが、性能は段違いに進歩した。
排気タービン過給器などの装備が無いために、実用上昇高度が低い点を
除けば、重爆として合格点に充分達しており、特に爆弾搭載量は最大時
にはB29を凌ぐ。
機体強度を保つためにB29は爆弾倉を機体の前後に分けているのに対し、
本機は大きな1つの爆弾倉を持っている。 この設計のおかげで10t爆弾
などと言うモンスターを搭載できる能力を得ているのである。
ダムバスター仕様や電子妨害機仕様などの派生型も多い。
特に電子妨害機はウィンドウと呼ばれるレーダー妨害用アルミ箔を撒いたり、
妨害電波を出したり、ドイツ語堪能な士官が乗り込みドイツ軍の通信に
割り込むなどして、情報・通信網を攪乱しまくった。
本機は乗員が7名と、米軍機よりもかなり少ない。 これは装備されている
機銃の量の違いからきている。 機体自体は打たれ強いのではあるが、防御
火器の弱さはいかんともしがたい。 口径自体も米軍の12.7mmに比べて
7.7mmと小さいので、積極的防空能力は二回り低いと思われる。
現在の視点から見ての倫理的問題はともかく、主な作戦行動を夜間だけに
限った事は、この問題による傷口を大きくしなかった事に寄与しているだろう。
軍上層部の運用者が、使用機の弱点を見つけ、それに対する対応をして、
自軍の損害を局限する。 本機はそれ自体の性能もさることながら、取り巻く
環境の良さにも幸運があったと言えるかもしれない。
本機はほとんどが液冷機であるが、一部に少数の空冷機も製造された。
私見ながら、戦略爆撃機に液冷エンジンを装備すると言うのは被弾時の
耐久性の面からも、問題があるかなぁと思う。
(本H・P、特集・解説の「飛行機の動力」参照)

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