グラディエーター



840馬力 407km/h
イギリス最後の実用複葉戦闘機。 このクラスに840馬力は、相当
強力なエンジンを装備していると言えよう。
デザインはいかにも古めかしく、複葉、固定脚、羽布張りと、第一次
大戦の頃の設計を忠実に踏襲している。
これで全金属、低翼単葉、引込脚の機体に対抗できるとはとても思えない。
ところがイギリス軍は第二次大戦初期だけとは言え、この機体を各線戦で
使用していたのである。 日本軍に対抗したマレーでも、ドイツ軍に対抗
した本土防空戦でも使用したのである。
アメリカ参戦まで、いかにイギリスが窮乏していたかわかるだろう。
本機のクライマックスはイタリア半島の側近にあるマルタ島攻防である。
マルタ島からイギリス軍機が行動すれば、イタリア半島と北アフリカの
枢軸軍側補給路が断たれる。 逆にイギリス軍機が行動できなければ、
マルタ島はもちろん、連合国側(イギリス)が北アフリカとの連絡を遮断
されてしまう。 マルタ島の確保は両陣営にとって極めて大きな意味を持つ。
最初期にその大任を一身に背負ったのが、たった3機の本機であった。
イタリア空軍が連日来襲する中、たった3機で迎撃を行い、何とか補給が
来るまで時間を稼いだ功績は非常に大きいと私は考える。
3機はそれぞれ「誠実」「希望」「慈愛」と騎士道の三大美徳のコードネーム
を与えられていたと言う。(後に付けられた、との説もあり。)

ウォーバード見出しに戻る