ソードフィッシュ



750馬力 225km/h
おそらく世界最後の実戦用複葉機。 本気でこれを実用雷撃機として運用
した所は、根性と言うよりも執念である。 しかも1944年まで生産を続け
ていたのであるから、驚きと言うより唖然だ。
本機が運用出来得たのは様々な理由がある。
1つには、素直な操縦性、稼動性の高さ、使い慣れたパイロット達の支持。
2つには、優秀な後継機が無かった事。 これはイギリスの航空生産施設の
プライオリティーが他機種に充当された事が大きいのではなかろうか。
3つには、最大の理由として、敵海軍力があまりに脆弱であった事である。
「的」であるドイツ海軍の艦載戦力は皆無。 アメリカのような近接信管も
装備しておらず、対空攻撃の主力を担う巡洋艦、駆逐艦戦力も脆弱。
防空能力の無い艦隊相手では、本機でも十分な戦果が残せる訳である。
しかし、ドイツのチャネル・ダッシュ作戦の際に多くのドイツ機が援護して
いるドイツ艦隊に攻撃を仕掛けたフラー作戦の結果は、無惨であった。
飛行経験豊富で全軍布告の功績を挙げるほどの名指揮官である
エスモンド海軍少佐の率いる6機のソードフィッシュは全滅、戦果無し。
これは明らかに、兵力まで予想されていたチャネル・ダッシュに対して
何ら対抗策を講じていなかったイギリス海軍・空軍の大失敗である。
エスモンド少佐以下、6機のソードフィッシュと搭乗員に全く責任はない。
バリバリの第一線機が直掩に付いている艦隊を、250km/hも出せない
複葉機で攻撃させるなど、末期の日本軍のような不条理な攻撃である。
さて、このソードフィッシュには下翼の下にロケットランチャーを搭載
できるようにした2型と、固定脚の間にレーダー装置を取り付けた
3型がある。 画像は3型で、主脚の間、機首下面にそれが見える。

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