ボーサ
880馬力双発 354km/h
1938年末に初飛行した本機は、沿岸警備用の偵察・雷撃・爆撃を
兼ねた三座機として、1935年に開発が開始された。
1940年夏に実戦配備が開始されたが、半年も経ずに前線からは引き
上げられてしまった。
部隊配備前から、低馬力に起因する操縦性の悪さが問題になっていた。
更に機体背部の銃塔が大きな空気抵抗を生み、特に銃塔を回転させた
時には機体の震動が激しかったという。
1940年夏と言えば、バトルオブブリテンが始まった時期である。
さすがに沿岸警備とはいえ、Me109はもとよりMe110よりも
鈍足では、さすがに危ないと思ったのかも知れない。
少しでも飛行機が欲しい時期に、間に合いながらも役に立てなかった
形になってしまっている。 それでも最終的には580機が生産された。
開発時には他の強力なエンジンを望んだのだが、機体の優先順位が
低く低馬力のパーシウス・エンジンしか使えなかった。 もっとも、この
エンジンは多用途機ライサンダーにも使われており、機体にマッチし
なかったというところで、決して悪い物ではないだろう。
高速を狙ったであろう高翼面荷重の主翼構成は、何となくアメリカの
B−26と平面が似ているが、向こうは2000馬力双発。 対して
満載時には8tを上回る重々量の双発機に、880馬力2基ではいか
にも厳しい感じがぬぐえない。
その後は訓練用の機体として運用されたが、最後まで操縦性の劣悪
さが尾を引き、1944年には退役した。
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