Me110



1100馬力2発 540km/h
1934年に開発が開始された本機は、当時流行した双発多用途
戦闘機のカテゴリーに属する機体だった。
ドイツ空軍の主力機Me109に欠けている長距離侵攻能力を有し
爆撃機を護衛して敵戦闘機と戦い、敵の爆撃機の迎撃にも使える
火力を有する万能戦闘機・・・という、夢の戦闘機を目指した。
その上ドイツ空軍の攻撃志向を体現し、仕様要求書では爆弾倉を
装備することすら要求されていた。
競争試作の他2社の試作機は仕様書通り爆弾倉を装備していた為に
機体が大型化し鈍重になったのに比べて、Me110は仕様書を無視
して爆弾倉を装備しなかった。 結果、機体は小型で他2機よりは
俊敏な機体となり、速度性能もMe109を上回り採用となった。
ポーランド侵攻からフランス陥落までは、有利な戦況と相手が二流機
だった事から戦果も上がったが、ダンケルク撤退戦から現れ始めた
スピットファイアの前には歯が立たなかった。
それでもゲーリングお気に入りのこの機体はバトルオブブリテンにも
多数投入されたが、爆撃機を護衛するなど本来想定された任務をこな
す事はできず、自身の身を守るのが精一杯と言う状況になった。
ゲーリングの肝煎りでMe110にはエリート搭乗員が配置されていた
が、パイロットの腕ではカバーしようが無い性能差の前に被墜機が相
次ぎ、苦しまぎれのゲーリングが「Me109でMe110を護衛せよ。」
と指令を出したのはほとんどコメディーの世界である。
単純にMe110を護衛任務から外せば良かったのではないか?
ただし戦闘爆撃機として運用されたMe110は有効な奇襲攻撃を
行えることが証明されている。 通常の双発爆撃機より高速で運動性も
良好な事から、低空からの奇襲を主用する部隊もあった。
受身の戦勢に転じると、重爆撃機を迎撃する夜間戦闘機としての道が
開けた。 小型とは言え単発機よりは大きな搭載量を生かしてレーダー
機器を装備し、それを操るオペレーターも搭乗可能。
一時はドイツ夜戦部隊の主力として運用された。
Ju88などが夜間戦闘機として配備されるようになると、余裕のある
大型の機体の方に生産の力点が置かれるようになったが、それでも敗戦
の日までドイツの夜空を守るために奮闘した。


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