Ju88



1750馬力2発 540km/h
本機が開発される頃のドイツは、全金属製セミモノコック構造の
分野で一歩遅れを取っていた。 そこでユンカース社はアメリカの
技術者を招きいれ本機の開発に関わらせた。 1936年の事である。
(もうちょっと後年なら出来なかった相談だろう。)
戦訓により、双発の大型機である本機にも急降下爆撃能力が求めら
れたのでダイブブレーキを装備して初期型の生産に入っていった。
単発爆撃機よりは大きな搭載量と航続力を持ち、一応急降下爆撃も
できる事から初戦では対英艦艇攻撃を行った。
バトルオブブリテンではHe111やDo17には不可能な急降下爆撃
すなわち精密攻撃能力を発揮し、ピンポイントの攻撃をしてくるので
イギリス軍にとってはイヤな存在だったと言う。
この戦いで息切れが激しくなってきたHe111とDo17は夜間攻撃
のみに運用を限定されたのに対し、Ju88は昼間攻撃を続行した事
からも、既に本機がドイツ空軍爆撃機の主力として運用され始めたと
言えるだろう。 この後、順次HeやDoと入れ替わりに本機への機種
改変が行われていき、最終的には全ての双発爆撃機の総生産数より
も多い、15000機が生産される事になる。
後には夜間戦闘機の主力として運用され、大柄な機体ゆえの搭載量
の多さと、英重爆よりは良好な運動性で戦果を上げた。
元が大型なのであれこれ装備を施しても、大きな性能低下は無かった
と言うところが、小型ゆえに重装備を施せば性能低下が大きかった
Me110よりも重用された大きな要因だろう。
特殊な運用方法として「ミステル」の子機にされたものがある。
機首の部分を取り外し爆弾と信管を装備させ、背中に母機となる単発
戦闘機を背負って目標近くまで飛行。 目標に機首を向けてから分離
するとあとは自動で直進飛行し目標に命中、破壊。 母機の単発機は
帰還する、と言う発想。 計算通りなら威力は大きいハズだったが、
肝心の制空権が確保できずほとんど戦果は無かった。

画像の機首部分、ヒゲのようなモノがレーダーアンテナで、意外な
ほど大きな空気抵抗になってしまう。

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