Bv138



880馬力3発 275km/h
1937年初飛行の、非常にユニークな機体構成の飛行艇である。
P38、というより、P61を大きくしたような平面形で、中央胴体
のみが艇体で、双ビームの後部胴体は接水しない。 着水時の安定は
通常形式の飛行艇のように、主翼の補助フロートが受け持つ。
最初は双発機として計画されたが、エンジンの供給が見込めなくなった
ために、比較的低馬力のエンジン3発として設計は進められた。
これは1000馬力級航空機用ディーゼルエンジンの開発が頓挫した
ための苦肉の策だったが、使用された低馬力エンジンもディーゼル
なのは、洋上航続力を重視した為であろう。
当時、航空機用ディーゼルエンジンは各国で小規模に開発されていた
ものの、成功を収めたものはほとんど無かった。
高回転向きなエンジンではなかったからだが、飛行艇への用途なら
高回転高出力よりも、低速での長時間用途が重視されたのだろう。
初期型のA型から、880馬力に換装したB型を経て、機体強度を高
めたC型が生産された。 このC型が生産型のほとんどを占める。
5000kmにも及ぶ長距離性能を生かした洋上哨戒・偵察を主任務と
したが、大西洋からバレンツ海に渡る広い範囲をカバーし、大西洋では
Uボートとの共同作戦を展開し、北海・バレンツ海では対ソ連のレンド
リース輸送船団を見張る目となっていた。
艦隊や船団にとっては、敵襲の予鈴のような存在だったろう。
特に艦隊航空戦力を持たない間のレンドリース船団にとっては恐ろしい
存在だった。

ちなみに、着水時に機体自体が接水し機体を支えるのが「飛行艇」
フロートのみが接水し、機体は水面から離れているのが「フロート水上機」
両方をまとめて「水上機」というカテゴライズになっている。

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