Ju86



600馬力双発 327km/h
再軍備宣言まで、1930年代のドイツは、ベルサイユ条約の影響で
軍用機の開発ができなかった。
1933年に「高速双発旅客機」の開発指示が航空省から出たが、
この使用目的は完全に「爆撃機」であった。 実質的には条約違反
である。 政治的な誤魔化しをやってのけた時代だったが、とにも
かくにもそういった制限の中で、偏ってはいるものの一流空軍の基礎
となる機体を次々と開発した設計者はたいしたものである。
ともあれ、その開発指示に応じたハインケルの機体が後のHe111
であり、ユンカースの機体が本機である。
最も大きな特徴は、ディーゼルエンジンの搭載にある。
燃費=航続力の優越性を目指して搭載された自社製のJumo205は
整備に手間のかかる事が露見し、実戦では扱いにくい事がわかった。
民間機型では流麗なソリッドフォルムの機首が軍用機型では無骨な形
なにり、見るからに抵抗が大きくなっている。 低馬力なのに・・・。
爆弾搭載量1000kg、7.92mm3丁の防御火器では、第二次大戦
での実戦運用は難しかったに違いない。
特にHe111より速度性能と搭載量で劣り、新生ドイツ空軍主力爆撃機
の座はHe111に譲ることになった。
(もっとも当時の型でもHe111は1200馬力双発。)
スペイン市民戦争には参戦したものの1939年頃には前線を退き
その後は星型空冷エンジンに換装し生産された機体が、輸送機や
対パルチザン攻撃機などとして運用された。



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