Bv141

1560馬力 370km/h
当時のドイツ軍の偵察機コンペに応募した、ブロムウントフォス社の
特異な機体で、ここまで非対称な航空機はほとんど例を見ないのでは
なかろうかというほど、空力的に非対称な機体となっている。
これは競争試作の条件が「単発機、視界は極めて良好なる事」という
ものだったからであるが、競争相手はフォッケウルフのFw189。
Fw189はP-38のような双ブーム式の双発機になっている。
本来なら「単発」という条件を無視しているのだが、視界以外の性能
的には優れていた為、コンペ自体ははFw189の採用に終わった。
1938年2月25日に初飛行したBv141を設計したのは、日本
にも招聘された事のあるリヒャルト・フォークト技師。
同氏はコンペに敗れた事に口惜しさもあっただろう。 ルール通り単
発で頑張ったのに、双発にしたライバル機が採用されたのだから。
Me110駆逐戦闘機の時にも、ナチス空軍はそういうルール破りの
悪癖を良しとしていた。
双発で良いなら、同氏の設計も違ったものになっただろうに・・・。
それでも機体自体は、試作機など8機、増加試作機20機までは作ら
れ、試験がてら東部戦線にも投入されたが、あまりかんばしい評判で
は無かった。
3人乗りのコクピットブロックは偵察視界こそ良かったものの、操縦
は独特のクセが強く、特に左右への旋回性能の違いが顕著だった。
開発中には無難な飛行性能を示していたものの、実戦では試験通りの
結果にならないのは往々にしてある事である。
空冷星型14気筒のBMW801エンジンも信頼性が低く、オーバー
ヒート問題もつきまとったと言う。
1942年には全ての開発がキャンセルされ、同社の自費開発で始ま
ったBv141の計画は終わりを迎えてしまった。
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