Z506 アイローネ



750馬力3発 365km/h

原型は12人乗りの民間機として1935年に初飛行した機体で、1936年から
水上機としての航続距離や速度記録、荷重状態での高度記録などを塗り替えた。
1937年に生産の始まった軍用機型のB型は画像でもよく確認できる大きなゴン
ドラ状の張出を機体下面に付加し、ここに爆弾倉と爆撃手席を設けた。
1938年にはポーランドからも30機の受注があったが、実際には1機が納入さ
れただけで、他はイタリア海軍に引き取られた。 まあ独伊の同盟関係を考えれば
さもあらんという結果である。
開戦時にはイタリア軍が95機の本機を装備しており、1200kgまでの爆弾の
他に魚雷の装備も可能であり、緒戦では艦船攻撃にも使われた。
爆撃、雷撃、偵察、哨戒、救難、輸送と、さまざまに運用されたが、目標の艦隊に
空母が随伴するようになるとさすがに艦隊攻撃には使えず、徐々に後方任務が多く
なって行く。
航続距離や搭載量に余裕があり、着水時にも双フロートの安定性も兼ね備えた大型
の機体は、特に捜索・救難活動に適しており、地中海に囲まれたイタリア半島とい
う地理的条件もあいまって多くの要救助者を助けた。
戦後も残存機が救難機として改修され、10年以上運用され続けた。
この時代のそれも敗戦国の、しかも生産数の少ない機体としては、恵まれた機体の
運命と言える。

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