九九式艦上爆撃機



金星54型1200馬力 428km/h
本機の出現当時は世界でも一・二位を争える高性能艦爆であった。
固定脚はいかにも古さを隠せない感じがするが、それ故の剛性の高さと
信頼性の高さは本機の可動率の上昇に大いに役立っている。
また、沈頭鋲の採用や、動翼などの細部の作り込みによって、機体表面
の空気抵抗の徹底的な排除を狙っている。
他にも主脚の長さを短くする為に、主翼の上反角は外翼部分だけに付け
るなど、見た目に騙されてしまう程、練り込まれた構造をしている。
また戦いに臨んでは、真珠湾奇襲の最先鋒を務め、陸上基地に第一弾
を叩き付け、多くの艦船に直撃弾を与えた。 とって返したインド洋海戦
に於いて英空母ハーミスを撃沈した時には、9割近い爆撃命中率を記録
しており、パイロットの技量と共に日本海軍機動部隊の強さを世界に示す
ことになる。
しかし戦況の進展には追いつけず、中期以降も使い続けられた為に、
多くの犠牲を出している。
ソロモン戦線に於いて出撃する九九艦爆の搭乗員の表情は、後の
特攻隊員の表情に比べても、より悲愴で蒼白に見えたと言う。
多くの九九艦爆はリタイヤする前に喪失されてしまったのである。
尚、日本海軍における「爆撃機」とは「急降下爆撃」のできる機体の事
を示している。

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