艦上攻撃機 天山 (テンザン)



護11型1850馬力 465km/h
大馬力エンジンを搭載した高性能艦攻として大戦後期に出現するが、
まともに「艦載」された作戦はマリアナ海戦位で、それも「七面鳥射ち」
の的にされた感がある。 出撃機の内で未帰還率がもっとも高いのは
雷撃機、つまり本機である。
これは機体の責任でなく、パイロットを訓練できない国力の浅さが原因
なのである。 その証拠と言っては何だが、マリアナ海戦の1ヶ月前から
艦載機のパイロットは空母への離着艦の訓練ができなかったのである。
米潜水艦の脅威があった為に、空母を動かすことが出来なかったのだ。
史上最大の空母決戦の前に1ヶ月も飛べないのでは、それでなくても
低い技量のパイロットは、完全に感を失ってしまう。
マリアナへの出撃時、航行中の艦隊で久しぶりに離着艦訓練を行った時、
旗艦「大鳳」所属の本機が着艦に失敗し、艦上の僚機を巻き込み炎上
した事はあまり知られていないのではなかろうか?
高性能機はどうしても操縦が難しくなる。 まして着艦においておや・・・。
レイテ突入援護の小沢囮艦隊の搭載機も、もはやまともな戦いはできず
台湾沖航空戦でも多数の機体が未帰還となるなど、性能に見合った
戦果を上げていないのは事実である。
敵艦への突入が最も大きな戦果を上げうる戦法だったことや、本機を
扱うパイロットの技量が低かった事など、本機は不運な機体だった。
劣勢の戦況は、少数の高性能機では覆せなかった。

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