九六式陸上攻撃機




金星42型1075馬力2発 373km/h
日華事変から終戦まで戦い続けた歴戦の機体。
日華事変では世界初の長距離渡洋爆撃を敢行。 その大航続距離と
搭乗員の能力は、当時の軍事常識の壁の1つを突き崩したと言えよう。
そして太平洋戦争開戦2日後のマレー沖海戦で、イギリス東洋方面
艦隊旗艦、戦艦プリンス・オブ・ウェールズと巡洋戦艦レパルスを撃沈
した主力は本機である。
当時、イギリスの派遣している方面艦隊としては最強の艦隊を、まさに
瞬時に壊滅させてしまったのである。
しかし、制空権の無い艦隊に対する仮初めの勝利は、ソロモン戦線で
本機に大きな試練を与える。
制空権のつばぜり合いの激しい戦線では、速度不足、防弾装備の欠如、
と言った日本機特有の欠点が致命傷となった。
新型機どころか戦闘機ですら帰還が難しくなってくるともはや一線での
運用が難しくなり、索敵や輸送などの後方任務を与えられるようになる。
また、北方戦線では味方陸軍の「隼」に一撃で誤認撃墜されている。
海軍と陸軍の連絡のまずさと、アリューシャン列島から来襲する米軍機の
PV−1(双垂直尾翼)に機影が似ていた事が不運だったのだ。
乗っていた海軍高官と搭乗員は全員死亡した。
しかし、もう少し防弾が有れば、「隼」の12.7mm2丁でそんな簡単に
撃墜されたろうか?  乗っていた方々は気の毒である。
当時の技術水準で4000kmを越える航続距離を得る為に、本機の
主翼は機体に比して大変分厚い。

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