二式単座戦闘機 鍾馗 (ショウキ)
「ハ109」1550馬力 605km/h
軽戦闘機全盛の時代に現れた重戦闘機で、当時のパイロットからは
かなり嫌われた感がある。 ノモンハンで「軽戦絶対思想」を抱いた
第一線のパイロットらは、旋回性能の良くない戦闘機は、戦闘機と
して認めようとしなかったのだ。
しかしまかりなりにも戦闘機なので、「翼端から糸を引く」程の旋回も
出来、蝶型空戦フラップと相まって、決して格闘戦が出来ないので
はない。 事実「Bf109」との格闘戦では完全に有利に立ったと言う。
ドイツから「Bf109」と一緒にやってきたベテランパイロットの1人は
「鍾馗」との模擬空戦を終えた後、以下のように評したらしい。
「全ての日本のパイロットがこの飛行機をモノにできれば、
日本は世界で最強の空軍を持つ事になるだろう。」
政治家の弁のように、裏のある、奥深い表現である。
少なくとも、当時自国の最強戦闘機「Bf109」より上と認めていよう。
また、増加試作機9機で編成された、独立飛行第四七中隊の活躍は
見事で、20機のイギリス軍ハリケーン戦闘機に、たった2機で突入、
一撃離脱の戦法で2機を撃墜、突っ込み700km/hの速度で逃げ
る「鍾馗」にハリケーンは追いつけなかったと言う。
しかし、世界最強の空軍となる前に戦局は悪化し、性能の善し悪しに
関わらず「鍾馗」も苦しい戦いを強いられる事となる。
戦争末期にはB29を相手に体当たり攻撃をかける「震天制空隊」の
装備機にもなり、本土上空で、武装も防弾装備も取り外した「鍾馗」が
散っていった。
ウォーバード見出しに戻る