二式複座戦闘機 屠龍 (トリュウ)



「ハ102」1050馬力2発 547km/h
試作発注から量産機の完成まで4年以上の歳月がかかっている。
一度目の試作機は「エンジンのテストベッド機」と言われたほど、
エンジンに泣かされた。 各種の実験どころか、全速飛行すら
出来ない状況で、遂にはお蔵入りとなってしまった。
その時にエンジンを選定したのは軍であり、設計者の責任ではない。
しかも機体の設計段階でエンジンはまだ出来上がっていないと言う
お粗末さ。 しかも出来上がったエンジンは、机上のプランよりも重く
そして出力は遙かに低かった。 これではいくら設計者が苦労しても
とても成功はおぼつかない。 ましてや日本で初めての双発戦闘機
なのである。
二度目の試作は、成功している九九双軽を原型にした為にスムーズ
に運び、何とかモノになった。 それが「屠龍」である。
最初は20mm機関砲を装備できる、唯一の陸軍機として期待された
ものの、双発機ゆえの中途半端さが運用を困難にした。
実際に陸軍の担当地区では援護戦闘機として良く戦ったが、イギリス
の単発単座機の敏捷性には追随できず、被害が多かった。
しかしラバウル方面の超難敵B17を迎撃する為に37mm戦車砲を
搭載したことが本機に「夜戦」化と言う新たな生命を与えた。
日本内地の北九州へ初めて飛来したB29に、第1弾を浴びせたのは
本機であり、以後、陸軍の対B29夜間迎撃戦力の中核を成していく。
背中に12.7mmの斜機銃も2門装備しているが、自動化された
37mm砲を使った撃墜が多くを占めている。
その威力は大きく、B29でも当たり所にもよるが、だいたいは一撃
だったようである。

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