百式重爆「呑龍」 (ドンリュウ)



「ハ109」1420馬力2発 492km/h
九七式重爆は生産が軌道にのるころには、すでにあらゆる面で弱体化
してきつつあった。  そこで、次期主力爆撃機として本機が設計される
事となった。 日本軍としては異例の重防御(とは言っても知れた程度)と
重火力を持つ重爆撃機を目指して設計された。
コンセプトは「戦闘機の護衛無しで、敵地に殴り込める爆撃機」である。
防御機銃は日本初の20mm旋回機関砲の他、多数の7.7mm機銃を
装備しており、重火力と言う面はクリアーできたが、肝心の防弾は、
他機よりはマシと言った程度であり、速度、爆弾搭載量ともに、九七重爆の
レベルと大差がない。
これでは「戦闘機の護衛無しで、敵地に殴り込む」などは、とても出来ない
相談である。 3年経っても双発の限界がわからないとは信じられない。
さて、本機が参加した作戦では、ポートダーウィン爆撃が有名だが、この時
迎撃に上がってきたスピットファイアーを護衛の「隼」が圧倒したにもかかわ
らず、本機の被弾、大破が多く、予想外の被墜も出た。
出撃18機の内、6機が撃墜破されたのである。 出撃機数に対して3割の
被害は、爆撃機にとっては大損害と言える。
これが何を意味するかは、手前味噌な「重防御」の防御力不足。
そして「戦闘機の護衛無しでは、敵地に殴り込む」事が出来ない。
と言う2つの事実である。
そして、ポートダーウィン爆撃が本機にとって最初にして、ほぼ最後の
檜舞台となった。 この後も「戦隊付き本部用機」などとして利用されたが
総生産機数は800機程度。 九七重爆は約2000機。
各戦域での前線戦力としてはともかく、大きな視点と長期の戦略的観点か
ら見れば、800機の総生産機数では戦力としては計算できない。
同じ島国イギリスは、一晩で1000機の四発機を飛ばす。
どれだけの戦力差があるかは、考えるのも虚しい事だと思う。

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