四式重爆撃機 飛龍 (ヒリュウ)



「ハ104」1900馬力2発 537km/h
ここにきて、ようやく満足できる重爆が出来上がった感がある。
爆弾搭載量こそ変わり映えしないが、その他の諸性能は高く、特に
運動性は「重爆」の中では図抜けており、一連の「陸軍重爆」シリーズ
の中で、宙返り(!)できたのは本機だけである。
もっとも、本来の「重爆」にとって必要な性能は、運動性ではなく安定性
であって、それ以上に必要な能力が爆弾搭載量と防弾設備である。
「飛龍」の一部の機体は、陸軍管轄のままで、海軍の指揮する作戦に
参加して、米艦隊に雷撃まで加えている。
作戦の前に、陸軍機の搭乗員に雷撃を指導した海軍士官は、
    「海軍の搭乗員より雷撃が上手い。」
と、評したと伝えられる。
海軍の搭乗員が下手なのではなく、ソロモン戦線でベテラン搭乗員が
次々と戦死してしまい、海軍全体の技量が低下してしまっていたのに
対して、陸軍機の搭乗員にはまだ、比較的ベテランが多く残っていた
事が、この言葉の遠因ではないかと思う。
変わり種として、機首に7.5cm高射砲を固定装備した対重爆迎撃型
が製造されており、試作型が実際にB29を追撃したが、それでなくとも
良好とは言い難い高空性能なのに、1トンもの砲を取付けてしまっては、
高空を高速で飛行するB29に追いつくことすらできなかたと言う。

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