九七式飛行艇
「金星53」1300馬力4発 385km/h
この機体は日本海軍が初めて装備した4発飛行艇であり、純粋に日本人
だけで設計した初めての4発機として、特筆しておかなければなるまい。
そして、一連の「九七式」シリーズのご多分に漏れず、出現当時は、
世界水準を上回る高性能機だった。
その時の日本にあって、すでに翼幅や全長は、後のB−29をわずかに
下回る程度の巨大な機体なのである。
そのくせ、安定性や操縦性能は非常に優れており、離着水性能にも大きな
問題はなく、太平洋戦争の中期までは南方の島々の上空を優雅に飛翔
していたが、戦局の激化に伴い、防弾不足と速度の遅さが問題となった。
しかし、第一線の新鋭爆撃機とは違うのであるから、そんなものを問題に
する方がおかしい。
攻撃に討って出る事ができなくなった後も、連絡や輸送任務に就いていた
が、激しい戦火の中で徐々に失われていき、結局、180機近く製造された
九七式飛行艇は、終戦時にはほとんど残っておらずまさに、全滅の様相を
呈していた。
戦局の悪化と、戦火の激化は、九七式飛行艇の力の限界を越えていた
のである。
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