九八式直接協同偵察機



ハ13甲型470馬力 348km/h
機体名称の「直接協同」とは、地上部隊と協同作戦を行う偵察機と
いう意味で、軽武装をした上で、味方地上軍の上空低くを作戦空域
とし、火力支援と情報提供を行う機体を指す。 格が違いすぎるが
現在で言えば米空軍のA−10あたりのポジションだろう。
本来、敵情偵察や着弾観測、不整地での離着陸を前提とした連絡
などを任務とする為、下方視界の良好な高翼パラソル型が多い機種
なのだが、本機は見ての通り低翼単葉機である。 速度や運動性の
向上が狙いなのは明らかだ。
少しでも下方視界を改善するため、コクピットをできるだけ機体の
前方に設置し、主翼前縁に14.5度もの後退角を持たせた。
着陸時の失速特性改善を主な目的とし、翼端にはねじり下げも付け
られている。 不整地での耐久性と整備性を考慮し、固定脚とされ
たが、本機のような機体ならば正解といえるだろう。
立川製の機体だが、川崎でも量産され、両社あわせて1333機が
生産された。 ノモンハンを皮切りに実践に参加していき、九九式
高等練習機の母体となりながら、終戦間際には特攻出撃もした。
日本での戦いが終わった後も、各国に残った機体がそれぞれの国の
空軍などで使用された。 インドネシアの独立戦争でも出撃した
機体があったという。
旧日本軍機の中では恐ろしく長い実戦歴である。
1950年にインドネシアはオランダの植民地を脱し独立を掲げた。


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