三式指揮連絡機



ハ42乙型280馬力 200km/h
昭和15年に陸軍は連絡機カテゴリーの機体を、日本航空工業に発注した。
ドイツのFi156のライセンス生産も検討していたことから、比較用にと
1機輸入していた。 キ76として試作された機体がFi156と比較審査
された末に制式採用され、本機の誕生となった。
短距離離着陸性能最優先の機体は似たような機体構成となったが、Fi156
が、液冷エンジン搭載の細身の機体だったのに対し、本機は空冷エンジンを
装備した丸形断面の機体となっているので、機体は大きく違う。
それでも、フルスパンの前縁スラットをはじめ、細身だが強靭な脚回り、など
共通の部分も多い。
日本では前線の整備兵が慣れない液冷より、慣れた空冷が正解である。
低馬力の9気筒星型なので稼働率や整備性も程よく、離着陸共に60mほど
というSTOL性能のおかげで前線からの評判も良く、昭和18年にズレ込ん
だ配備開始が惜しまれたという。
機体自体は鋼管羽布張り構造なので一見弱そうだが、それでも操縦者と
偵察員を2人と、後部7.62mm機銃装備、100kgまでの爆弾を縣吊でき
たことから、構造的には結構強いことがわかる。
最も期待されたのは、対潜哨戒機としての陸軍特殊船「秋津丸」への搭載
であったろうが、F6Fにでも見つかったらエラい事である。 もっともその
「秋津丸」自体も、五島列島近海で潜水艦の雷撃により撃沈された。
その後は色々な部隊に配備された少数機が便利に使われたという。


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