九〇式機上作業練習機
寿2型 580馬力 235km/h
昭和3年に機上作業練習用の専用機を開発しようとした海軍から、三菱が
試作発注を受けた機体で、ユンカースの機体などを参考に新規設計された。
角ばった機体は鋼管溶接骨組み羽布張、主翼は木製骨組み羽布張の、古い
ながらも手堅い設計で、プロペラだけは当時としては、ましてや練習機と
しては何を思ったか金属製だった。
最初はイスパノスイザを基本にした液冷V型のヒ式300馬力エンジンが
採用されていたものの、日本で運用する液冷エンジンの多分に漏れず冷却
不良が指摘されたが、結局、制式採用後に空冷の「天風」に変更、さらに
昭和13年に「寿」に変更。 これがK3M3となり生産型の決定版とな
った。 この型が90式2号陸上機上作業練習機とされ、それに伴い、今
までの型を90式1号陸上機上作業練習機と呼称するようになった。
本機には水上機型もあったが、早々に姿を消しているという。
角型断面のおかげで機内容積は広く、コクピットから機体後部キャビン迄
フラットに繋がっており、行き来がしやすく非常に使い勝手が良かったと
いうことである。 おかげで後継機たる「白菊」よりも使い勝手が良いと
いう話もある。
624機の総生産数の内、半数近い301機を九州飛行機が、245機を
愛知航空機が生産しており、三菱製は74機だけとなってる。
またキ7として陸軍からの試作発注も受けたが、結局は試作機2機が作ら
れたにとどまった。
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