飛行機の武装


爆撃機の防御機銃
軽快な単発機に対して鈍重な爆撃機は、本来、じっと我慢の
飛行を強いられる。 一度爆撃コースに乗ってしまえば、もはや
いかなる事があろうとも、忍の一字で直進等速飛行である。
そうしなければ、本来の目的である「爆撃」が不成功に終わって
しまうからである。 ( 映画「メンフィス・ベル」など参照。)
そんな爆撃機にとって一番の頼りは、その防弾機能である。
有ると無いとで大違いなのは、もはや語るまでもない。
今一つの頼りの綱は、敵機を近付けない為の防御火器である。
米軍爆撃機のそれを例に、見ていきたい。


米爆撃機の代表的な防御機銃
主に機体上部に搭載され、12.7mm機銃2門を搭載するタイプ
が主力である。 ガラス張りの銃塔の中に銃手が入り、直接照準で
射撃する。 銃塔自体はモーター動力で動く。
大半の米爆撃機に、似たような形式の銃塔が搭載されている。


これは、基本的には上と同じだが、機体尾部や機首に搭載された
銃塔である。 動力銃座とすることで、重く、取り回しがしにくい
M2・12.7mm機銃の操作を容易にし、照準も正確なものに
なり、連装にすることで総合火力も上昇する。


アメリカ以外の国でも、ほとんどの国が採用している機銃の装備
方法である。 主に機体側面の防御を担当している。
機銃の重量、反動、スペースの問題から、あまり有効ではなかった
らしいが、頼れる機銃でもあったらしい。
被弾帰還時などの非常時には、捨てられる運命にある。


B−29に至り、上のような空力的に洗練された、遠隔操作式銃塔
が装備される。 銃手は銃塔前部あるいは後部のガラスドームから
操作する。 1人の銃手が複数の銃塔を操作できるようになっている。
しかし、これらの防御火器をもってしても、十分な効果を発揮し得た
のはレシプロ機に対してまでで、朝鮮戦争ではジェット機の前に苦杯
を喫することになってしまう。

米軍はこれらの銃塔に、全て12.7mm機銃を搭載した。
弾丸の共通化が図られ、補給整備の面からも好ましい。
これらの弾丸は陸軍戦闘機はおろか海軍機とも共通である。
日本軍は大は20mm、12.7mmを挟んで、小は7.7mmまで
装備したために、補給も大変だっただろう。
無論、陸海軍間の弾丸の共通性は全くない。


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