飛行機の構造



材料と設計技術の発達により、機体の外板は0.何ミリ単位の薄い
鋼板で製造されるようになりました。 トラス構造で機体へかかる
力を分散して受け持っていたX字構造はあまり使われなくなりました。



機体後方の構造を、見にくいですが横向きにした画像です。
トラス構造は見当たりません。 力を受け持つX字構造の代りに、この
時代に力を分散して受け持ったのは、機体の外板そのものでした。
トラス構造の羽布張りの場合、強化されているとはいえ、さすがに
布に機体へかかる力を支えさせる訳にはいかなかったのですね。
トラス構造の機体のフレームだけで力を受け持ったのです。
しかし第二次大戦にもなると、機体を軽く作る為にフレームは安全の
許す最低限度の強度とし、機体外板にも強度を受け持たせるような
設計が主流となりました。
縦に真っ直ぐ伸びている骨組みを縦通材(じゅうつうざい:英ストリンガ)
と言い、中でも特に強度の高い部分はロンジロンと言います。
少し前、米軍のF15Cが空中分解した事故は、このロンジロンの破断
が原因とも言われています。
機体の輪郭を作るような楕円形の骨組みは円框(えんきょう:英フレーム)
と言い、外板を支える肋骨のようなものですね。
この頃の機体は、骨組みと機体外板の全てで、機体にかかる力を受け
持ちました。 このような構造をセミ・モノコック構造と言います。
引っ張る力を「線」で支えるトラス構造に対して、外板と言う「面」で支え
る構造になったと言えるでしょう。
この構造が現在でも航空機の主な設計方法になっています。
また、なかなか分類しにくいのですが、外板自体に強度を持たせ、骨組み
を支えや補助程度に用いた構造をモノコック構造と言い、潜水艦などの
構造に使われています。 身近なところでは、民間の車両などがかなり
モノコック構造になっています。 卵などは家庭でも見られるモノコック
構造のお手本ですね。 これらの構造を応力外皮(おうりょくがいひ)構造
と言います。


P51の機首開口部と主脚引き込み部、主翼上面機銃弾収納スペース

なかなか便利な応力外皮構造にも欠点があります。
トラス構造の羽布に敵の弾が当たったとしましょう。 機体の強度は骨組
だけが受け持っているので、機体強度は落ちません。
しかし応力外皮構造の外板に敵の弾が当たったら、その部分の外板は機体
強度を受け持つ事ができなくなるので、機体強度が落ちます。
機体設計上開口部があれば、当然その部分は補強しなくてはいけません。
そして驚くほど機体に開口部はあるのです。

応力外皮構造が機体の軽量化と強度の上昇をもたらせたのは間違いなく
これがなければ時速何百キロというようなレシプロ機は出現しなかった
でしょうし、ましてや音速を超えることはできなかったでしょう。
航空機の進歩は構造の発展による「体力の強化」が不可欠だったのです。




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