飛行機の武装2



ドイツ軍が用いたのは、主に空対空ロケット弾だった。

W・Gr21
デデルと呼ばれた直径21cmもの超大型空対空ロケット弾。
威力は絶大だったが、時限信管だった為に射程の判断が非常に難しかった。
地上用を流用したために偶然以外の命中は望むべくもなかったが、編隊の中で
爆発すれば、編隊を崩す程度には役立ったという。


Me262をはじめ、連合軍の爆撃機を迎撃する戦闘機に装備された
R4Mロケット弾、通称オルカン。
主翼下の木製ラックに24発搭載され一斉発射される。 飛翔すると
弾道が楕円形に広がるように設定されており、その楕円形の中に重爆が
入ったら良い運用がされた。 遅発信管を持ち、重爆の中に入ってから
爆発するので、命中しさえすれば撃墜が期待できた。
射程も長く、照準も機銃用の照準機で対応できたので、パイロットから
歓迎された。



ソ連軍は空対地ロケットを主用した。

RS−82
翼下のRS−82ロケット弾。 長く見えるが前半分はレール部分で
実際の弾長は60cm程。 形としては爆弾に近いような形である。
直径82mm。 命中率は悪く、直撃はほぼ期待できないようだが
それでも空対地だけでなく、空対空にも使用された。
画像はラグ3戦闘機に装備されているRS−82。 もちろん対地
攻撃の主力であるIl−2にも装備され、ドイツ軍には脅威となった。


RS−132
こちらは大型の132mmロケット弾。 RS−82に比べ炸薬は倍、
重量も2倍以上あるが、ロケット弾の命中制度に必須の弾速はほぼ互角。
射程も同程度あり、ドイツ陸軍にとっては厄介な相手だった。



イギリス軍のロケット弾も対地攻撃が主用途。

RP−3
初期の弾頭は87mmで、後に150mmも開発された。
戦車などの小型目標への命中精度は良くなかったが、艦船や潜水艦
列車や移動する部隊などの比較的大きな目標への攻撃力は高かった。
各種戦闘機に搭載された8発の一斉射撃は、巡洋艦の艦砲射撃に匹敵
すると恐れられた。



ロケット弾は大型のものは紆余曲折を経てICBMまで到達。
小型のものは主に空対地、空対空のミサイルとして進化。
現在の軍事技術の中で最も脅威となっているミサイル技術の始祖と
なったと言えよう。
第二次大戦中でも多くの機体によって対地・対空で使用され、航空機に
簡便に大火力を提供できる兵器となっていった。




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