航空優勢と巨砲廃退


1943年10月11日:ラバウル:角田和夫少尉
「ああ、飛行機が欲しい。あと六機、あと六機を私に与えてくれれば
 ガダルカナルの制空権は、完全に掌握できるだろうに!
 翼下で炎に包まれている輸送船を思うと胸が張りさけるばかりの
 悔しさである。 しかし、このわずか六機の戦闘機がラバウルには
 無いのである。」

ハワイ、オアフ島に在伯中の米太平洋艦隊に壊滅的な打撃を与えた
兵力は、全て日本軍の航空機である。 戦略的な問題は横に置いて
おけば、わずか350機の航空機が米太平洋艦隊を壊滅状態に追い込み
当時の太平洋艦隊司令長官キンメル大将を更迭に追いやった。
集中運用された航空機の、猛烈な破壊力が遺憾なく発揮された、初の
戦闘と言えよう。
その2日後のマレー沖海戦で、洋上を自由に航行する最新鋭の巨艦が
沈められた。 剛胆な英首相チャーチルをもってして「戦争中の最大の
衝撃だった。」と言わしめたこの戦果を挙げたのは76機の日本軍
雷・爆撃機だった。
制空権の無い場所では、いかなる巨艦をもってしても行動出来得ない
と言うことが証明された。
この日から、航空優勢と巨砲の廃退が急速に進んでいくのである。


在りし日の英最新鋭艦プリンス・オブ・ウェールズ

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