航空機と巨砲の効率



この巨砲が、いかに運用しにくいかわかるであろう。
必要としている戦線まで、わざわざ専用の線路を敷かなければならない
のである。 これを効果的に運用するには、まさに神算鬼謀の戦略家が
必要となる。 もっともこの戦略家がドーラを使うような戦略を立てる
かどうかは、大いに疑問が残るが・・・。

さて、ドイツ陸軍が、師団クラスの人員を割いて、たった1門の巨砲を
前に嘆息している間に、戦況は刻々と悪化し、イギリス空軍とアメリカ
第8空軍の戦略爆撃が始まるに至っては、もはやこの2門の砲は、全くの
無用の長物と化した。
ノルマンディーに上陸した連合軍は、あっと言う間に橋頭堡を確保し、
簡易飛行場を次々に建設した。
ドイツ上空の制空権を得るに至って、戦略ポイントを破壊するために
イギリス軍は10t爆弾「グランドスラム」を搭載したランカスターを
飛ばし始めていた。 
ドーラの最大射程は弾丸の重さを落としても47km。
10t爆弾を搭載したランカスターのそれは2000km。
勝敗は明らかだった・・・。

海上だけでなく陸上でも、巨砲は廃退していくのである。



珍しいランカスターの一葉。 垂直尾翼が3枚ある。
これはまだ、試作機段階のランカスターである。

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