名機の弱点を見る
・重い機体重量の反動
単発単座機最大の主翼をもってしても、F6Fの翼面荷重は
180kg/平方mを越える程に高い。
これに高揚力装置を使って揚力を得て、一生懸命速度を落としても
やはり着陸・着艦時の衝撃は非常に大きい。
そこでF6Fの降着装置は見かけよりかなり頑丈に作られている。
ちょっとやそっとではまず破損しない。
しかし、非熟練者によるハードな着艦などの場合、やはり脚が折れる
事が多々あったようだ。
また一見した限りは十分に見えるが、その轍間距離は3.35mと
日本軍の陸上専用機「雷電」以上に狭い。 さらに前任の1000馬力級の
艦載戦闘機F4Fよりは格段に広いものの、同じ2000馬力級のF4Uより
30cm以上狭いのである。 着陸しにくいハズである。
この通り
末期の日本軍ほどではないにせよ、アメリカ軍もある程度「新人さん」を
実戦投入していた。 F6Fには関係ないが、アメリカの空母の対空砲火は
素人でも40〜60時間程の講習と実技を終了すれば、一端の戦力になった
と言う事である。 もちろん、レーダー射撃装置が付いている。
さすがにF6Fのパイロットをこれほど即席には養成できないが、アメリカの
パイロットが全員、高熟練者であると言うのは間違いである。
結果、「いま一歩」のパイロットにとって、重い本機の着艦は相当な重荷に
なったであろう事は想像に難くない。
様々な面で、余裕を持って作られていると言う事は、裏を返せば、それだけ重く
なってしまうと言うことである。
ただ、戦闘に関しては熟練者の乗る零戦よりも、そこそこのパイロットの乗る
F6Fが優勢だった事は否めない。
その数と、一撃離脱の戦法は、旋回格闘戦闘程の熟練を要しないのである。
「マリアナの七面鳥撃ち」の時、F6Fは空戦による被害は極めて少なかった。
ところが着艦時や陸上基地への着陸時に、数十機(70機前後か?)の被害
を出している。 夜間になった着艦の失敗、ミスによる着水、未舗装滑走路の
泥濘に脚を取られての大破などがその原因である。
戦闘による被害は少なかったが、その後の損害は大きかった。
好例(?)であろう。
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