名機の弱点を見る


・弱点列挙。
無理矢理やってみました。 名機にはどんな弱点があったのか?
長所は無視して、重箱の隅をつついてみます。(主な外国戦闘機のみ)

P38ライトニング
翼面荷重が大きすぎ、未熟練者には扱いが難しい。 旋回戦闘は不可能。
中低空の戦闘ではターボ過給器がデッドウェイトになってしまう。
2つのエンジン、2つの過給器の4つの内どれか1つでも不調なら出撃不可。

P40シリーズ
機体重量が重い上にエンジンの馬力は不足気味。 冷却器の配置位置も
良いとは言えず、冷却性能と運動性の低下につながっていると思われる。
地上での視界は無いに等しい。

P47サンダーボルト
大きすぎ&重すぎ。 C型までのファストバック式キャノピーは視界が
悪く、「見える所」が無いのではないかと思う。
P51登場以降は対地任務が多くなり、ターボ過給器はデッドウェイト。

F4Fワイルドキャット
当面の敵・零戦に対して馬力不足の上に機体重量が重い。
艦上機として設計されたのか疑問に思うほど、轍間距離が短く危なっかしい。
中翼配置の主翼は座りが良い分、運動性の低下を招きやすい。

F4Uコルセア
視界は劣悪。 特徴的な逆ガル翼は速度の向上には役立ったようだが、
気流の剥離を起こしやすく、ハイスピード・ストールの危険性が大きい。
緊急とは言え、太平洋戦争中に艦上機として運用したのは信じ難い。

ホーカー・ハリケーン
羽布張り胴体ではどんなに頑張っても強度不足を起こす。
急降下時に速度がつけられなければ、空戦時には圧倒的不利になる。
使い続けられたのは、ひとえに「イギリスだったから」である。

スピットファイア
航続距離が非常に短く防空以外の使い道はない。 轍間距離も短い設計
なので一考の余地有り。 空力的にギリギリの設計をしているので、あと
少しで、欠陥機の仲間入りをしてしまいかねない。

ホーカー・タイフーン
高高度迎撃機として設計されながら、高高度性能と上昇力不足と言う
とんでもない戦闘機。 結局、対地攻撃任務を割当てられたが、それなら
専用の機体があるだろうと思ってしまう。

ホーカー・テンペスト
タイフーンの改修機だが、生産機数が少なく目立った戦績が無い。
性能は良くなっても数が揃わなければ戦力にならないと言う事の見本。
結局、タイフーンの劣性能を強調しただけでは?

Fw190
比較的高空性能が悪い。 末期にはそこを突かれた上にパイロットの技量
も低下、数も足りないと言う状況から、戦局に押し流されてしまった。
高空性能改良機も出たが、改良タイプの多い機体はえてして分が悪い。

Migシリーズ
解放風防はやめなさい。(1型) ちょっと知っている人なら、外見を見た
だけでもわかるほど、安定性は劣悪。 そこからくる操縦性も悪い。
いくら改良しても原設計が悪いので改良のしようがない。

Yakシリーズ
金木混合の機体構造は、どうしても全金属製よりは強度に劣る。
このシリーズもヴァリエーションが多く、ましてあのお国柄では、整備に
難儀したであろうことは、想像に難くない。

Lagシリーズ
全般的に高空性能不足。 安定性の劣悪なタイプも有る。 MigやYakに
隠れてしまっている機体なので、戦車をT34一本に統一した国なのだから
お流れになってもおかしくないと思うが、それに触れた文献が見つからない。

・日本軍機について。
もはや言うまでもないが、全般的に次の3点は内包している。
運動性に重点を置きすぎたための速度不足。
設計時点での防弾装備の欠如。
工業力の浅さからくる高高度性能の不足。
これらは小型機から大型機まで、全てに言える。
つまり、どの機体を取っても悲しいかな「弱点」だらけと言うことになる。

・最後に・・・。
この企画を思いついたときは、もう少し続くと思っていたが、難しい。
設計と実機の間に大きなギャップがあったような気分だ。
しかしあらためて気が付いたのは、米軍機を主軸にする連合軍機には
弱点が少なく、日独の枢軸軍機には致命的な弱点が多いと言うことだ。
これについて見ていくと、結局は連合軍の物量に行き着いてしまう。
また、連合軍(特に米軍)は機体を統一し、あらゆる面で共通化を図り、
柔軟性・運用性を高めている。 対する物量のない枢軸軍側は様々な
機体を、互換性も考えずやたらと乱発している。(種類が多い。)
現在のアメリカは一機一機の性能向上に傾いているが、それができる
のはF15やF16、F/A18、などの従来機の量が充分に揃っている
からであって、余裕のない国には出来ない相談である。
現在でもF4ファントムやMig21を主力にしている国もある。
これは数を揃える為であり、特段に性能が優れているからでは無い。

性能第一主義は結局敗れる。
数が揃ってこそ、初めて性能は生かされる。


特集見出しに戻る