航空雷撃
その他の場合
日本軍、米軍、英軍、以外の国が航空雷撃を組織だって常用的に用いた事は
無い。 外征戦力として航空母艦を運用できたのはこの3カ国だけであり
他国の空母戦力は無いに等しかった。 (イタリア・・・は、ちょっと厳しい。)
それゆえに航空雷撃戦力は育つだけの土壌が無かったのである。
ほとんどの大型水上機などは魚雷を装備する事はできたが、集中して運用する
などと言う事は出来なかった。
航空雷撃の消滅
第2次大戦が終わると同時に、雷撃の歴史に終止符が打たれたと言っても過言
ではない。 何故だろうか?
終戦当時は標的となる艦艇が無かったと言えるだろう。 アメリカとイギリス
そしてその友邦国以外で、強力な海軍戦力を有している国はほとんど無く、
わずかに旧ソ連が多少の海軍戦力を有していたに過ぎない。 そして旧ソ連は
基本的には陸空軍国であり、海軍の育つ余地が比較的少ない。
また雷撃は非常に危険な攻撃方法である事が敬遠される理由の1つだろう。
低高度まで降下しなければ雷撃は不可能で、レーダー索敵とレーダー連動射撃の
常用化に伴い、低高度まで降りる事は自殺行為と言えるようになってしまった。
着陸寸前のような高度で直線飛行する航空機は、レーダー射撃にとって好餌で
しかない。 更に、戦闘機の速度が上昇するに従って、全ての航空機の速度が
上昇していく事になるが、そんな中で魚雷投下時の速度に制限が付けられる
雷撃機にとっては高速の戦闘機の脅威がさらに大きくなる。
魚雷自体の速度が飛翔体に比べて遅い事もネックだろう。
これら初期の要素に加え、ミサイルが登場すると航空魚雷の退役は確定的となる。
ミサイルの高い速度と、射程の長さ、航空機からの運用のしやすさなどは魚雷
にとって代わるに充分な能力と言えよう。
現在では潜水艦すら対艦ミサイルを装備しており、魚雷はその大きな威力とは
裏腹に、細々と運用されているにすぎない。
実際の所、対艦ミサイルでは戦闘艦艇の撃沈は難しい。 しかしよほどの大型艦
でない限り、一撃でほとんどの戦闘能力を奪う事ができる。
撃沈よりも戦闘能力を奪う事を目的とした対艦ミサイルもあり、現代の戦闘に
於ける対艦戦闘の思想自体が、第二次大戦中のそれとは全く違うと言えよう。
最後の実用雷撃機はアメリカのAD1スカイレーダー攻撃機。 性能はさすがで、
魚雷3本を抱えて飛ぶ事もできる。 スカイレーダーはベトナム戦争まで使わ
れスパッドの愛称で近接航空支援や輸送ヘリのエスコートと言った任務にまで
幅広く用いられた。
特集見出しに戻る