ミーティア


ミーティアF.MkTを運用試験用と位置付けしたイギリス空軍が、本命
としてのがミーティアF.MkVである。 風防をはじめとする機体構造の
改良、燃料タンクの増大、エンジンの換装などが行われた。
ミーティアF.MkVを装備した第616飛行隊は1945年1月、初めて
イギリス本土を出て、ベルギーで実戦配備についた。
しかし出撃制限がかかった為に、ドイツ本国上空の飛行は行えなかった。
折しもドイツ軍最後の攻勢、アルデンヌ攻勢があり、Me262も参加して
いたもののミーティアに出撃の機会は無かった。
ジェット機同士の初空戦の機会は、朝鮮戦争にまで先送りとなる。
4月には偵察・哨戒飛行などに出撃するものの空戦の機会は無く、間も
なくドイツは降伏した。
ミーティアF.MkVのその他の成果として、レーダー装備試験、複座化、
射出座席試験、着艦試験、空中給油試験、などが挙げられる。
いずれも後のジェット機開発に非常に有効な成果を残している。


冬季用白系迷彩のミーティアF.MkV


戦後の開発となったものの、ミーティアF.MkWはMkVの内の1機を
改修してエンジンを換装、エンジンナセルの形状を洗練させ従来の
ものより前後に長いロングナセルとしたものが原型となっている。
エンジンは1500kg級にまで成長しており、速度は940km/hを記録。
特別機な改修機は975km/hに達した。 音速一歩手前である。
燃料容量のさらなる増加、増槽タンクの装備、コクピットの与圧、などの
改修が行われた。
翼端を短くしたタイプは、増速と機動性向上を狙ったものだ。
ミーティアF.MkWは戦後に多くの飛行隊の主力機として配備され、また
外国に輸出もされた。

Me262と比べられると、特に主翼面の形状から、凡作とか見るべき物
は無いと言われるミーティアだが、連合軍初のジェット機と言う以外にも
Me262では成し得なかった成功を収めているのは事実である。
ドイツが崩壊しなければMe262にもチャンスはあっただろうが、現実
としては、ミーティアはシリーズを作り上げ、マッハに近い速度で飛行し、
長きに渡って多くの機体が運用され、外貨の獲得にも成功している。
また実施された各種の運用試験もジェットとしては記録的な成果だろう。
空中給油実験では連続飛行時間は12時間にも達しており、当時の
ジェット機としてはありえないほどの時間を残している。
遅咲きではあったが、堅実な花を咲かせたと言えよう。



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