Ar234 ブリッツ
偵察機として計画され、爆撃機として活躍したAr234のもう1つの型が
夜戦型である。
夜戦型Me262の活躍などの報もある事から、Ar234にも白羽の矢が
立ったのは、自然の成り行きだったとも言える。
機首にFuG218ネプチューンレーダーを装備し、後部燃料タンクの更に
後方にレーダー手が搭乗した。 このレーダー手の出入口の開閉は
外からしかできず視界も無いので、非常に息苦しい環境であったろう。
武装は胴体中央部下面に追加された20mm機関砲2門を収めたポッド
に頼る事になるので、Me262の30mm4門と比べると見劣りする。
同機の改装指示は爆撃型が実戦に投入されるわずかに前の、1944年
9月に出されており、同年末にはB型を改装した1機が完成。
実戦出撃したとの記録もあるが、ほとんど戦果は無かったと見える。
3月には2機目が完成。 やはり実戦配備されたものの、1機や2機の
改造夜戦が戦勢を覆せるはずも無かった。
ナハティガル(英語ではナイチンゲール)の名称を与えられた機体は
その翼跡だけを残し、戦争という大嵐の夜が明けると共に消え去った。
放棄されたAr234。
Ar234は非常に実戦配備期間が短い。 遅すぎたと評されるMe262より
さらに短いのである。 それ故にまた華々しい戦果も無く、ドラマチックな話
も残っていない。 機体の性格上、偵察機としては華々しい戦果など求める
べくもなく、また爆撃機としても、連合軍がフランスを開放した後とあっては
大戦果を望むべくも無く、不幸な機体であった。
私見ながら、メッサー、フォッケ、ハインケル、といったドイツの一流メーカー
ではなく、傍流のアラド社が製作していた事も一般の興味を引く対象として
は不運であったかも知れない。
しかし、ジェット機として第二次世界大戦に従事したと言う事は、大きな
光を放っていると言える。
Me262以外で、機体の性格にあった戦果を上げえた機体はAr234しか
存在しない。 製作過程、登場時の戦勢、当時の補給事情、などを考えれ
ば、活躍の範囲が狭すぎた事はAr234の能力の不足ではない。
兵器の質だけでは、貧弱な国力の趨勢を変えられなかっただけである。
アメリカ本土でテストされる捕獲Ar234。 機体のマーキングが何となく
おかしいのは、ドイツの国籍マークを消した上にアメリカの国籍マークを描き、
さらにその上から、撮影用にドイツの国籍マークを描いた為。
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