プラット&ホイットニー


R−2800系のダブルワスプは、単列を1340系と同じ
9気筒にして星型複列18気筒とした大型エンジンである。
直径約1.2m、排気量3万ccのツインワスプに対して、
ダブルワスプは直径こそ1.3mと10cm増し程度だが、
排気量は46000ccと1.5倍以上の大排気量となって
おり、重量も700kgから1000kgへと増えている。


P&W R−2800系ダブルワスプ

太平洋の制空権を米軍にもたらせたエンジンと言える。
海軍の主力戦闘機F6F、海兵隊の主力戦闘機F4U、両機に
搭載されたエンジンで、この頃には液冷一辺倒だった米陸軍に
あってもP−47に採用されるなど、重重量機を任せられる
まさにアメリカの「力」だった。
これまた巨大な夜間戦闘機P−61や、ヨーロッパ戦線で名を
挙げたA−26インベーダー双発攻撃機。
同じくヨーロッパ戦線のB−26マローダー双発爆撃機。
カルカッタから成都への、ヒマラヤを越えての決死の輸送空路
ハンプ越えで主力を務めた双発中型輸送機C−46コマンド、
これら4機種は全て陸軍機で、いずれも実戦で性能を証明され
ている。

尚、F6Fに続くF7F、F8Fもダブルワスプ系のエンジンを
搭載しており、戦争後半の海軍戦闘機は、ほぼ全てがこの
エンジンだと言っても過言ではない。

P&Wは、同じアメリカのゼネラルエレクトリック、イギリスの
ロールスロイスと並んで、現在も西側3大エンジンメーカーの
一角を担って、軍用・民間を問わず世界中にエンジンを供給し
ている。 また宇宙産業用のロケットエンジンや既に退役した
スペースシャトルのエンジンを制作していたメーカーもその
傘下に入っている。



P47のエンジンと、プロペラを付けた1枚。
下側の丸い2つの円筒が滑油冷却系の装置。


同じくP47の整備風景。 だいたい3人1組で行うのでしょう。
整備士との対比で、エンジンやプロペラの大きさがわかります。


たまにダブルワスプだけが脱出するF6Fもあったようです。



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