文集4−6



私の名前


     親子三代みな  がついている。雄々しいの意味だが私自身は

  雄々しいとは思っていない。また武は武士、武器をも意味し戦争に

  つながる。 文武両道の武と解すれば武芸であるから納得できる。

     双葉山、羽黒山,照国の時代、小学校では相撲が盛んだった。

     男子生徒はみなしこ名をつけ、大相撲なみの取り組みをした。

     このときも私は武久山と名乗り、いかにも力士になった気持ち

  だった。 太平洋戦争の武運長久を祈ってつけたしこ名だが、平和

  な今考えるとばかばかしい。 が、懐かしく思う。

                                          ( 昭和64年元旦 )


思い出の名画 ( 映画 )

     監督も主演も思い出せないが 「 悪い種子 」という洋画を見た

  ことがある。 スリラーだが殺人犯が幼若なこどもであったという

  結末でショッキングであった。そのこどもの親がやはり人を殺した

  ことがあり、素質が遺伝したという話だったと記憶している。

     懐かしい名画をテレビでよく見せてくれて有り難いが、この映画

  は何故か一向に登場しない。 若い世代の殺人の多い今の世相に照ら

  してもう一度見たいと思っている映画だ。

     遺伝と差別の問題があって上映禁止なのだろうか。

                                          ( 平成元年8月 )


私と昭和


    前半は苦難の時代。父とともに北朝鮮の新義州へ。戦災は逃れた

  ものの終戦、そして引き揚げ。大和郡山でゼロからの出発。こども

  ながらに苦難を助け貧困に耐えることを知る。

    そして後半。高度成長の波に乗せられあらゆる贅沢をし、今や

  文化の恵みを享受し、つぎつぎと新しいものに飛びつく。ステレオ、

  パソコン、マイカー等。

    この著しい段差を生きてきたことは意義深い。

    昭和よ! あらゆる貧困と贅沢を! アリガトウ!

                                           ( 平成2年元旦 )



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