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*小児用肺炎球菌ワクチン*
小児用肺炎球菌ワクチンが平成25年4月1日より5歳以下の子の定期接種(無料)になりました。
肺炎球菌は咽喉の常在菌(誰でも持っている菌)です。
成人や小学生以上の子はこの菌に対するしっかりした抗体を獲得しており、菌を持っていても病気が発病することは極めて少なく無視しても良い程度です。
しかし、乳幼児ではこの菌に対する抗体を持っておらず、また何回感染しても、しっかりした抗体を獲得できないと言われています。
そのため、この菌による感染を繰り返します。感染を繰り返しているうちに運が悪いと髄膜炎、菌血症、肺炎や中耳炎を発症します。
病気の方からみますと、乳幼児の髄膜炎の起炎菌としては以前はインフルエンザ菌b型が最も多く、次いで肺炎球菌でした。
ところが、ヒブワクチンと小児用肺炎球菌ワクチンが広く接種されるようになってから様変わりしました。インフルエンザ菌b型による髄膜炎は激減しましたが、
肺炎球菌による髄膜炎は減少しましたが、以前に比べ半分程度の減少になっています。
これは、小児肺炎球菌ワクチンに含まれている菌の種類が7種類(7価)のためです。欧米では日本で7価のワクチンが発売された時点ですでに13価(13種類の肺炎球菌)
が使用されていました。なぜ日本で最初から13価のワクチンが発売されなかったのかは?
そのため、7価のワクチンに含まれていない種類の肺炎球菌による髄膜炎が発症したため、ワクチンを接種しても髄膜炎の減少が半分程度にしかならなかったのです。
13価のワクチンが日本でもやっと発売されることとなりました。平成23年11月1日より接種可能となります。
そうすると、これからワクチンを接種する子はもうちょっと待った方がいい?て事になりますが。これは絶対いけません。なぜなら、待っている間に感染してしまう可能性は
十二分にあります。発病してしまうと取り返しのつかない場合もありますから!!
7価のワクチンを接種している途中の子はどうか?となりますが、途中から13価へ切り替えは可能ですので続けて接種をしてください。
1回接種することで今までの7価ワクチン以外の6価分の抗体も獲得できるようです。
1歳未満で3回もしくは2回接種済みの方はある程度の抗体が獲得できていますので、
1才を過ぎてからの追加接種は肺炎球菌による7価分に関しては髄膜炎にかかることは極めて稀と思われますので13価ワクチンが発売されてから接種してください。
乳幼児の中耳炎は非常によくみかけます。その原因菌としては、肺炎球菌が多く、次いでインフルエンザ菌です。
これらの菌は、いままではペニシリンやセフェム系の抗菌剤がよく効いたのですが、細菌はこれらの抗菌剤に耐性を示す菌が増えてきており、
治療に困ることが多くなってきています。新しく開発されたよく効く抗菌剤がでてきても、直ぐにその抗生剤に対し耐性を持つ菌がでてきます。
そのため、対処法としてはこれらの菌にかからないようにするのが最善の方法です。それにはワクチンが最も効果的です。
肺炎球菌ワクチンは肺炎球菌による中耳炎を70%程度予防できます。一方、ヒブワクチンはインフルエンザ菌による中耳炎を予防することは出来ません。
日本で今回発売された小児用肺炎球菌ワクチンは、今後13価で(肺炎球菌は菌の外の膜の性質の違いで、多数の種類に分類されています。そのうちの13種類のものが混合
されているという意味です)、乳幼児が感染しやすいものを選んでいます。
ちなみに、以前から発売されている成人用肺炎球菌ワクチンは老人用のもので、23種類の肺炎球菌ワクチンですが、小児にこのワクチンを接種してもしっかりした抗体を獲得できません。
小児用肺炎球菌ワクチンを接種すると、上記の重い疾患はほとんど防げます。中耳炎に関しては、原因となる肺炎球菌の6-7割方防げるようです。
そうすると全ての子が対象となりますが、この菌に乳幼児で感染するのは、保育園など集団生活をする子では高率に感染すると言われております。
よって、乳幼児から保育園に預ける予定の方は、ヒブワクチンと同様に入園までに接種されることをお勧めします。
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