インフルエンザ予防接種


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もうすぐ12月となります。インフルエンザの予防接種はもうお済でしょうか?

昨日(11/28)に私が世話人代表をしている講演会があり、厚労省のインフルエンザの研究班の主任をされている先生に講演をしていただきました。
内容はインフルエンザ脳症やインフルエンザによる急性呼吸不全、インフルエンザワクチン、今年の流行しそうなインフルエンザの型、新型インフルエンザ時の対応でした。

インフルエンザワクチンの効果に関しては、A香港型はやや効果がある、B型はほとんど効果なし、AH1pdm(数年前に大流行したいわゆる新型)にはかなり効果がある。
今年はAH1pdmがよく検出されており、流行の主体になりそうであること。
AH1pdmは肺胞に侵入しやすく急性呼吸不全になる恐れがあり、ワクチン接種が勧められる。
以前問題になっていたインフルエンザ脳症は、治療方法が確立してから早期の対応が取れる様になり減少した。AH3に多いが、AH1pdmやB型でも発症しうる。
インフルエンザによる発熱は、40度以上になると脳症を発症する危険があるので、39度以上に上昇しそうな場合はアセトアミノフェン(解熱剤)を使用すべきである。

上記のような内容が皆様に知っていただきたいことかと思います。

平成27年度のインフルエンザワクチンから含有されるインフルエンザの種類が3から4に増えました。
詳しくは、従来AH1(ソ連型、新型)とAH3(香港型)とB型1種類でした。今年度より前述のA型2種類とB型2種類(山形系株とビクトリア系株)になりました。
B型は大まかに分けて2種類、山形系株とビクトリア系株のどちらかか2種類か流行しないかです。よって、今回2種類に増えたため予防効果が良くなるとの考え方です。
B型が流行した場合には、少しは良いと思えますが、きっとそんなに目にみえる効果はないでしょう。値段が高くなっただけといった可能性があります?
なぜかは、以前に以下にお話しした理由だからです。

アメリカで行われているインフルエンザ経鼻生ワクチンの効果が、アメリカで出ています。
外国で開発使用されている経鼻の噴霧ワクチンの場合は咽頭粘膜からのIgA抗体が産生されので発病を阻止できると考えられていましたが、
期待されたほどの効果はでなかったようです。
以下は以前に掲載したものです。

インフルエンザ予防接種をしておけば、インフルエンザにかかりにくくなると言われていました。
一般的には接種済みの方で成人は発症阻止率70%程度、就学前の幼児20−30%位と言われています。
しかし、下記の理由により発病は阻止できないのではないか?とも考えられています。
奈良市医師会で行っているインフルエンザ流行迅速情報をもとに予防接種済み者と未接種者の報告数の比率をみますと、ワクチンがそのシーズンに流行したウイルスと 近似していた年とかい離していた年とで比率に有意差が無いようでした。毎年6〜7割:3〜4割前後です。(しっかりした統計解析ではありませんが)

日本で使用されている現行のワクチンは、皮下注射でワクチンを接種しますから、血液中に循環するインフルエンザ抗体(IgG抗体)が作られます。
しかし、インフルエンザウイルスは咽頭粘膜のシアル酸レセプターとウイルスのヘムアグルチニン(HA)がくっついて、そこからウイルスが人間の体の中に侵入します。
インフルエンザ感染の既往のある人の咽頭粘膜からは、インフルエンザ抗体(IgA抗体)が分泌され、 この抗体がインフルエンザウイルスのHAと結合して、シアル酸レセプターとの結合を阻害します。
よって、IgG抗体では理論的にはウイルス侵入を阻止できないことになります。しかし、前記のような発病阻止率が発表されています? 発病阻止できるという方は、血管からIgG抗体が咽頭にしみ出てきているとおっしゃいます?どれほどの効果があるかは疑問です。 IgG抗体は、インフルエンザウイルスが上気道の粘膜に感染した後、そこで増殖し更に他の所に波及して、肺炎等の重篤な症状を阻止するようです。

しかし、現行のインフルエンザワクチンは、インフルエンザウイルスが最初に感染する咽頭の粘膜から分泌されるIgA抗体は出来ません。 そのため、インフルエンザは咽頭粘膜から侵入し感染を引き起こします。

インフルエンザウイルスが咽頭粘膜に感染してから周囲の細胞に拡がり熱や咳鼻水がでるのには2日前後かかります。これが潜伏期間といわれるものです。
ワクチンにより抗体(IgG抗体)が存在すると周囲の細胞に拡がっていくのがある程度抑制されることがあるので、予防できるということになるのです。
また、現行のワクチンはインフルエンザウイルスの上述のヘムアグルチニン(HA)のみを抽出して接種しますので、一度インフルエンザに罹ったことのある方では 上述の抗体が出来ますが、感染した事の無い乳幼児では抗体が出来ないと言われています。
現行のスプリットHAワクチンは、いわゆる免疫増強剤(抗体を産生しやすくなる成分)が含まれていません。
そのため抗体産生はでき難いですが非常に安全なワクチンです。
老人に対する調査では、45%の発病阻止率があり、死亡阻止率は80%との報告があります。
何度もインフルエンザに感染したことがあると考えられる老人でこの程度ですから、感染したことが一度も無い乳幼児では発病阻止率は0%に限りなく近いと考えられます。

一度感染したことのある方に対する予防接種は発病を阻止できないが、罹患した場合に重症化は阻止できるのではないかと思われます。
実際に接種済みの方でインフルエンザにかかっても発熱期間や症状が軽く済んでいる人はよくみかけます。


一方、外国で開発使用されている経鼻の噴霧ワクチンの場合は咽頭粘膜からのIgA抗体が産生されので発病を阻止できます。ただし、日本ではまだ認可せれていませんので、 使用出来ません。


(病気の説明の項も参考にしてください)