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関空での麻疹大量発生報道があり、麻疹ワクチンもMRワクチンも超品不足状態です。
マスコミは麻疹が非常に怖い病気で、インフルエンザよりも感染力があり治療法が無く、早急に予防接種することが唯一の予防法だとしつこく報道しています。
視聴者は驚き慌てふためいて医療機関に予防接種を申し込みます。
以前は麻疹症状の軽減のためγグロブリンの筋肉注射がよく行われていましたが、これは血液製剤(献血からの)ですので現在は行われ無くなっています。
罹患してしまったら、おたふくかぜや風疹、いわゆるかぜもそうですが、対症療法、熱や頭痛などの痛みに消炎鎮痛剤を、咳や鼻汁に鎮咳剤や抗ヒスタミン剤で症状を抑える。
大部分の感染症はこの方法なのですが、、、、。
予防接種で感染を防げるかというと、非常に効果があるようにも思えません。
平成の初め頃までは当院にも麻疹の患者さんがちょくちょく来られていました。この頃には麻疹ワクチンが定期接種化されていましたので幼児の段階で1回接種がされていました。
その当時は、1回接種すると巷に流行があったりして麻疹に対する抗体が判らないうちに増強されたりしていたと考えられます(ブースター効果と言います)。
ところが、15年前位からは当院でも全く麻疹感染者が無くなっています。よって、ブースター効果が無くなり抗体が低下しています。
厚労省もそれを危惧して、米国を倣って10年位前から2回接種が導入されています。
これによって麻疹は根絶できたと思われていましたが、そう簡単ではありません。
当院でも、医療関係の学校へ入学された方から、麻疹抗体検査で十分な抗体が得られているかを確認してほしいとの依頼があり20人以上に検査をしました。
結果はほとんどの方が抗体不足で再接種が必要でした。3回接種しても抗体が十分でない方もあり、予防接種だけでは完全に感染を抑えることが出来ないことがよく判りました。
そうすればどうすればよいのかとなりますが、接種既往者で麻疹に罹った人は、他の予防接種もそうですが、軽症で済んでいます。
だから、1回も麻疹予防接種をしていない方は接種が必要ですが、接種既往者は重症になる事は極めて稀だと思います。
報道では、麻疹に罹患すると脳炎、肺炎等が生じ死に至ることがあると不安をあおっています。
麻疹は本当にそんなに怖い病気なのでしょうか?
私は昭和50年に医者になりその後ずっと診療をしており、麻疹は多くの方を診断治療してきましたが、
子どもで脳炎や間質性肺炎(ウイルスそのものによる肺炎で、二次的に細菌による肺炎ではありません)は幸いなことに経験しておりません。