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訪問看護指示 在宅悪性腫瘍末期医療 在宅静脈栄養 在宅バルーン留置 在宅酸素療法 在宅腹膜透析


訪問看護指示

訪問看護指示とは、在宅で療養されている患者さんに対して、御本人・御家族の同意を得て、訪問看護ステーションから看護婦を派遣させ、在宅での看護の指導、全身の清潔、褥創の予防、医療器具の処置等、訪問看護の具体的な内容をかかりつけ医が指示するものです。

かかりつけ医と訪問看護ステーションは、在宅での療養生活の看護上の問題を解決すると共に、病状悪化の早期発見、急変時等の速やかな入院先の確保についても、充分な連携をとっていくために必要な指示を含んでいます。

この指示によって訪問看護を行うことは、在宅で療養されている患者さんや御家族の不安をやわらげ、療養生活をより適切で質のたかいものにするために、非常に重要な役割を担っていると言えましょう。
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在宅悪性腫瘍末期医療

癌などの悪性腫瘍にかかっておられる末期の患者さんが在宅で療養される場合、痛みのコントロールを行うことは、残された時間の質を維持するために非常に重要です。

この対策として、最近持続的に鎮痛剤や抗癌剤を注射で投与する事が行われますが、在宅悪性腫瘍末期医療とは、これらに関わる薬剤処方と共に注射器具の貸与、自己管理指導を行う等、在宅でいわゆるターミナルケア(終末期医療、緩和ケア)を行う事をいいます。
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在宅中心静脈栄養

在宅静脈栄養とは、家庭で行う中心静脈栄養法のことです。
食物を口から食べることができない場合でも、点滴だけで栄養状態を正常に維持でき、人体に必要なすべての栄養(ブドウ糖、アミノ酸、ビタミン、ミネラル)を補給する方法を中心静脈栄養法といいます。つまり、消化管を経由せずに必要な栄養を輸液として補給する方法で、腸からの栄養摂取が不十分もしくは不可能な疾患に適用されます。

通常の輸液はブドウ糖濃度が低いため、一日に必要なエネルギーをすべて摂取できません。もし、普通の輸液で必要なエネルギーをすべて摂取するとしたら、大量の輸液を使用することになります。そうすると、腎臓での水分排泄が不十分となり、その結果血液量が増大し、心臓に負担をかけます。逆に、輸液のブドウ糖濃度を上げて水分摂取量を少なくすると、腕などの末梢静脈からの点滴では血管痛や血栓性静脈炎が起こります。これらの欠点を補うために、中心静脈栄養法では、ブドウ糖濃度の高い輸液を、血流が速く、末梢血管では困難な濃い輸液も速やかに希釈される太くて血流量の多い静脈(中心静脈)に点滴します。具体的には、心臓に近い上大静脈あるいは下肢静脈などに、カテーテル(点滴用チューブ)を留置します。

在宅中心静脈栄養法は、数日から長い場合には数年間カテーテルを留意して点滴することから、留意部位の細菌感染、カテーテルの閉塞、代謝障害などがおこります。これらを防ぐために、中心静脈栄養を行う際には清潔操作が必要で、専門の医師、薬剤師、看護婦等が、管理・指導にあたります。
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在宅バルーン留置

在宅で療養されている患者さんで尿意が失われる等、排尿をおむつで行う事がありますが、おむつの中にしみこんだ尿が褥創や皮膚感染等の原因となる場合があります。また、前立腺肥大症や脳梗塞後遺症による膀胱直腸障害によって、尿意があるが排尿を充分に行えない場合、膀胱に尿が残っている状態を放置すると尿路感染症を発生させ、発熱の原因となります。
この対策として、尿道にカテーテル(細いゴムまたはシリコン製のチューブ)を留置することが行われますが、在宅バルーン留置とは、この挿入処置と共に留置時の管理やこれに必要な指示を行う事を言います。
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在宅酸素療法

在宅酸素療法とは、自宅で酸素療法をする事で、通称HOTと呼ばれます。
在宅酸素療法の目的は大別して二つあります。一つは、酸素を吸入することで呼吸困難を軽くし、生活活動の範囲を広げようということです。もう一つは、たとえ呼吸困難がなくても、慢性的な酸素不足のために特に心臓を中心としたさまざまな内臓の働きに障害が生じることを予防しようということです。

わが国では、1985年に肺気腫、肺結核後遺症、持発性間質性肺炎(肺線維症)などによる慢性呼吸不全症の患者さんに対して、健康保険でHOTができるようになりました。それまでは、体に必要な酸素を十分に取り込めない慢性呼吸不全の患者さんは、酸素を吸入する目的のためだけに長期の入院を強いられていました。HOTのおかげで、多くの患者さんが自宅へ開放され、生きがいのある生活が可能になりました。酸素吸入により、心臓にかかる負担が軽減され、運動能力が改善し、生命予後が延長しています。

酸素供給源は、酸素濃縮装置(90%の酸素濃度が得られる吸着型が主流、膜型は40%の酸素濃度)、液化酸素(電源不要、充填操作が必要)、酸素ボンベがあり、外出用に携帯型があります。酸素ガスを患者さんに供給するための器具は、鼻孔に固定する鼻カニューラが簡単かつ衛生的で、会話や食事も容易なので、最も一般的に用いられます。

必要とする酸素の量・時間は、もとになる病気の種類や患者さんの状態により大きく異なります。時には必要量以上の酸素を吸入することで、生命にとって非常に危険な状態に陥る患者さんもおられます。このため、酸素療法を行う前には、安静・運動・睡眠などのさまざまな状態での十分に必要な酸素吸入量の設定が必要となります。その後は定期的に医テ機関での受診が必要で、一般的な診察とともに血液の中の酸素や炭酸ガス量を測定することが必要です。

HOTは、酸素療法自体が目的ではありません。患者さんの残された機能を最大限に生かして、その人らしい前向きな生活が送れるように、患者さん一人一人に合わせた診断・治療・支援・教育を行う包括的なリハビリテーションを、病院や診療所の専門医、かかりつけ医、看護婦、理学療法士、作業療法士、栄養士などが、家族や酸素供給業者と協力してチーム医療として行うものです。ですから患者さんは、できるだけ積極的に専門家の指示に従って、呼吸訓練、呼吸筋強化療法、運動療法を行い、さらに入浴、趣味や旅行などを楽しんでいただきたいと思います。
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在宅腹膜透析

在宅腹膜透析とは、患者さんが在宅で行う透析であり、持続的可動式腹膜透析の事で、通称CAPDと呼ばれます。

CAPD治療は、慢性腎不全に行われる透析治療のひとつの方法で、1984年に健康保険で認められました。腹膜と腹腔を使って体内で透析を行うもので、腹腔内に半永久的に埋め込まれたカテーテルを通して、滅菌透析液を腹腔内に貯留し、この間に腹膜を通して血液中の老廃物や余分な水分を除去します。

24時間連続的に透析を行い、指導に基づき1日4回のバック交換を自分で行う治療です。従って、患者さんの自己管理が第一です。異常の早期発見のためにも自己管理をしっかりすることが必要です。

CAPD導入の選択にあたっては、次のような長所・短所をふまえた上で、適切であるかどうか判断することが大切です。

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