当日は朝からあやしい雲行き、カーラジオも一日中雨と言っている。神戸を通過するあたりから降り出した。約束だし、高速だから引き返せないし、などと後ろ向きなことばかり考えていたら、すでに海峡を渡り終え、橋の下にある集合場所の道の駅あわじに到着。で、Aさんは・・・来ていない。そりゃこんな天気で150キロ走るバカは・・・それが50人も集まっていた。出発は8時と聞いていたが、まとまりを欠いたミーティングをやっていてなかなか走り出さない。平均20キロで7.5時間だぞ、これでいいのか?それでも女子や初心者の人から雨が小やみになったところで出発。
岩屋、大磯、津名、洲本、このあたりは20年前香川医大で研修していたときによく通った道。雨もやんでいて快調なサイクリング。雲が低く対岸は見えないけれど、風がないので走りやすい。由良でパンクをした人の手助けをして集団から大きく遅れた。遅れを取り戻すためにハイペースで山道をのぼる。立川水仙郷を過ぎ、峠を下って再び海岸線にでる。
ここから4人で先頭交代をしながら平均40キロで前を追いかける。こんなペースで大丈夫か?あとで足に来そうだが、大丈夫、すぐに淡路島モンキーセンターで休憩している集団に合流。再びサイクリングモードに。小さな峠を越えて阿万にさしかかる頃、前方の空が真っ黒になり稲光が始まった。あの、私たちそちらに向かっているのですけど・・・それでも走っていると前が見る間に白くなり、まるでレースのカーテンのように雨の塊が迫ってきた。とっさに農家の納屋に飛び込んだとたん、大粒の雨が落ちてきた。稲妻、路面をたたく雨粒、あふれる用水路、眺めながら考える。こんな所で何をやっているのだろう?雨雲が東に去るのを見届けて福良に向けて再出発。港の食堂で食事。貝飯定食、これが絶品。ただし自転車に乗っているときは何を食べても2倍美味しい。その間に思い思いに雨宿りをしていた後続も無事到着。でももう2時で、あと70キロ残っているのですけど。
阿那賀、丸山を過ぎれば後はひたすら淡路島の西海岸を北上するのみ。平坦路を走るときは修行僧の如く、つまり加減速せずに一定のペースを保ち続けるのがポイント。でもお坊さんも喉が渇く。えっ、ボトルがからっぽ。こんな時に限ってコンビニや自販機にはなかなかたどりつけないものだ。あれは蜃気楼か?前方に自販機を見つけた時は、砂漠でオアシスを発見した気持ち、実際発見したことはないけど。少し休んで元気を取り戻し、雨具を脱いで再出発。五色を過ぎ淡路市に入る。合併したせいで島の北半分は淡路市だけれど、ゴールは近い。薩摩灘の対岸が見える。加古川か高砂だ。後ろの空が少し明るくなった。顔をあげると、夕日を浴びた明石海峡大橋が見えてきた。