大和郡山市医師会広報指定席
「予約診療を行って」
松本拓也先生



 開業時から診察の予約制をおこないましたが、予約診療を行って6年が経過した今、自分の経験から予約制についての思うところを記してみたいと思います。  予約制を導入して、「待ち時間が少なくなるはず」が、時には診察が遅れ、30分以上お待ちいただくことがあります。その場合には、残念ながら「予約制だから待ち時間が少ないはず」と、期待していた患者さんからクレームをいただくことがあります。    

では、なぜ予約制なのに診察が遅れるかと考えてみますと、まず、単純に時間当たりに診られる患者さんの数が計算できず、特に重症患者さんの処置が長くなると、以降の時間が遅れます。  しかし、一番の原因は予約を取らずに直接来院される患者さんがいることだと思います。受付では予約をお取りいただくようにお願いしますが、症状の激しい急患であれば、予約の方よりも優先してみなければなりません。また、「遅くなってでもよいので待っています。」という方もあり、あくまで予約の方を優先して、その間に入れていきますが、予約なしで来院される方が増えれば増えるほど以降の予約で来院された方の待ち時間が遅れてしまうのです。また、余裕を持って予約を入れても、予約をして来院されない方もあり、その場合は、すごく時間が空いてしまいます。予約でない患者さんを診ないわけにもいきませんし難しい問題です。  

さらに、時間通りに来院されない場合もあります。遅れて来院される場合には、その方の本来の予約の時間には患者さんが切れ、その後、遅れて来院された場合、それ以降の患者さんの待ち時間にも影響が出てしまいます。中には家族で遅れてくる場合もあり、その場合にはその人数分だけ影響も大きく、このようなケースも診察予約が時間通りに進まない原因となっているようです。  

また、逆に予約時間前に来院される患者さんもあり、中には、たとえば午前10時半の予約を取っているのに9時頃来院される場合もあり、「早くしてほしい」と受付で訴えます。その場合は予約をしていないのと変わりはありません。  このように、予約制の問題点としては、患者さんがすぐに来院したいと思っても、予約の時間まで待っていただかなくてはいけません。お電話にて症状を聞いて、症状があっても、少しでも待てる方は予約をお取りできる時間まで待っていただいています。  

さらに、繁忙期には、予約が取れる時間がかなり遅い時間になってします事があります。お昼くらいに今からお取りできるのは午後の7時ですと説明すると、多くの方は驚かれ、「だったらいいです」と断る方もいらっしゃいます。大変申し訳ないと思いますが、予約制が円滑に行くためにその時間までお待ちいただいております。  また、こちらの側の問題点としては、前日から予約が入っている以上、体調が悪くても簡単には休診にできません。いつまでも健康ではないのでこれが不安です。  それに、診察が予約時間から遅れてくるとあせります。精神上も良くないかなと思います。何十分と遅れているときに、関係のない長話をされるといらいらしてしまいます。      

以上、予約制の問題点を記しましたが、良い点もあります。患者さんの集中が避けられるため、ものすごく長い待ち時間が解消されたということ、また、待合室や駐車場の空きスペースが効率よく利用できていること。また、こちらの都合で、従業員の欠勤などで対応が十分できない場合は、時間当たりの予約人数を調整して対応ができるということ、午前の診察予約がいっぱいになれば午後にまわせるので、昼食の時間が遅れることがないなど良い点も多く、それまでに記した予約制の問題点をいろいろ解消できるよう対応を考えているところです。      

 近年、医療に関する広告規制の緩和が実施され、その中に予約診察の実施の有無が記載できるようになりました。それだけ、予約診察に関する期待は大きいものと思われますが、自分の場合はまだまだ試行錯誤の状況です。


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