大和郡山市医師会広報指定席
庭の里山
中川知里先生



     ツクツク法師のアカペラが澄んだ青空に響く9月、洗濯干し場の一角に置かれた虫箱にふと目がつきました。子ども達が夏に飼育していたカブト虫がいなくなったあと放置していたものです。おそるおそる空けてみると、2〜3・の幼虫が30匹ほどかえっていました。不思議と気持ち悪いという気はせず、うきうきいそいそと腐葉土を購入し育てています。

実はカブト虫の飼育は5年前から始めています。夫が勤務の帰りに万葉の森の近くで捕まえてきたのがきっかけです。今では成虫用飼育ゼリーがホームセンターで売られているので便利です。とても長生きしますが、冬は越せません。幼虫は夏の終わりから11月ごろまでどんどん腐葉土を食べて成長し、霜が降りるころに冬眠します。大きい成虫を育てるにはこのときまでが勝負です。翌年のゴールデンウィークになると早いものは変態してさなぎになり、梅雨も半ばになると順に成虫となって地表に表れます。3年半前に郡山市に引っ越してきた際も一緒にやってきました。毛の生えていない外で飼えるペットとして喘息の子供にも安心です。  

こちらでは往診先の農家で桃の木のネットに引っかかったカブト虫の成虫をいただいたり、しいたけ栽培の方からいただいた朽木の中から偶然幼虫が出てきたりと新入りも参入しています。毎年お盆のころにはかえったカブト虫たちを矢田の森へ放しに行きます。ちょっとしたブリーダーの気分です。豊かな里山がまだ多く残るこの郡山市では虫の一生から季節を感じ癒されます。庭の片隅でけなげに育つカブト虫の世話を楽しんでおります。


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