大和郡山市医師会広報指定席
青春の罠
中村由美子先生



     今回ご紹介するのは1999年の作品。現在ケーブルテレビの「衛星劇場」で放映されています(全24話)。多少古めかしさを感じますが、シム・ウナ(沈銀河)の美しさと名演技を否定する方はいないと思います。泣けます。登場人物全ての造形が過不足なく描かれ、言葉巧みな台詞使いに感心しますが、今日、会長秘書役のシム・ウナが水を飲むシーンで小刻みに腕を震わせ両手で抱えるようにコップを持っているのを発見して、その細やかな演技と演出に恐れ入りました。8時半から診察だというのに午前零時から5時までビデオを見続ける暴挙であります。      

 シム・ウナは清純を絵に描いたような清楚な韓国の女優。「8月のクリスマス」の主演女優と言えば思いだされる方があろうかと思います。ヨン様と同じ1972年生まれ、2000年に映画・テレビの現場を去り出演のラブコールを拒絶、数年前、見合い結婚をして今は2児の母になりました。「青春の罠」の中で「家庭に入り子どもを1日中見ているような生活を私もしてみたい」と涙ながらに語るシーンがありますが、紆余曲折を経て今、そのような生活を手に入れたのかも知れません。

物語は貧しい若者の恋、当然の帰結のような妊娠、妊娠の事実を隠して彼の入隊中に娘を出産する女性、打ち明けられて戸惑う男性、しかし将来は結婚することを約束して互いの家族にも打ち明け、夫、妻として双方の家族に受け入れられていた2人。彼女は優しく思いやりがあり、貧困を恥じ、両親を唾棄する彼に代わって親兄弟に生活費を送り、行事の度に嫁の務めを果たし、彼には「何着もスーツと靴を買ってあげた」。子どもを自分の祖母と叔母に託して、学生時代からの親友である裕福な友人の紹介で一流企業の会長秘書として就職。当然未婚の母であることを隠さなければならなかったが。彼は同じ会社に大卒後入社。非常に優秀な人材であり米国輸出担当。ある時、前会長の娘が彼を見初め急接近、彼は大きな獲物を目の前にして糟糠の「妻」を捨てた。子どものために戻って欲しいと懇願しても彼の思いは変らず、すがる彼女を殴りつけ「会社を辞めろ」と恫喝。彼の両親に翻意を訴えても、貧しく、長男にひれ伏す親から彼女を守る言葉は出てこない。時を置かず「あんたの将来を考えたら孫を私らが引き取って育てる」という連絡が入り彼女は激怒。そして子どもと共に生きる決意をした。決然と!  

しかし思いがけず5歳の娘が事故で急死してしまう。別れたとはいえ「パパ、パパ」といつも父を求めた娘を思い「危篤」の報を入れるが彼は無視。「夫」と、かけがえのない「子ども」を同時に失くした彼女に希望はない。会社には「姪」が死んだと偽り、葬式を終え事故の3日後には出社した。会社での彼女は普段どおりに振舞うが、彼を呼び出し報復を宣言する。従順で自分の言いなりになる女と都合よく考えていた男は、大きな不安を抱きつつ暮らすようになる。「会社は辞めない」「あなたを壊してやる、どのように?考え中よ」冷たく言い放つ彼女を「悪かった」と抱きとめる彼の心中を彼女は見通し腕を振り解いて去る。  

その場凌ぎの嘘に嘘を重ねる男は、自尊心が強く賢く美しい2人の女性に翻弄されて行く。 −男の正体を見た女に訪れる新しい「愛」の行方。−正体を見あぐねて苛立つ前会長の娘は、婚約した後も「しばしば携帯の電源を切り何をしているか言わない、でもそんな貴方を愛している」「あなた以上の男に出会うことはないと思う」と悶え苦しむ。  

恋愛と何だろう?愛と恋と性とは?子どもとは?家族とは?結婚することの意味?終生、互いの愛だけを誓い続けることが出来るのか?  

珠玉の韓国ドラマは人生の何たるかを突きつけ「語りたくなる」気持ちを抑えられない魔力を持つ。ゆえに今回またしてもお邪魔しています。語りたいことは山ほどありますが、言っても詮無いことばかりなので、こういう作品があることをご紹介させていただきました。 でも1つ「語る」ならラストは愛に満ち溢れ、鮮やかな平和が訪れること!


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