大和郡山市医師会広報指定席
腰痛症
大萩豊先生



 早いもので開院して一年になりました。

日頃は郡山市の先生方には大変お世話になっております。まだまだ赤字経営で勤務医を続けていたほうが良かったのではないかと思うこともありますが、今は日々受診してくれる患者さん一人一人に充分な時間をかけて診療しております。

話は開業前になりますが、開業準備に忙しかった一昨年の夏休みの旅行より帰ってから腰痛に襲われ日常生活もままならなくなってしまいました。県立奈良病院で生まれて初めてMRI検査を受けたところ立派な腰椎椎間板ヘルニアの診断を頂き、その後コルセットを装用して外来、手術をこなすことになりました。

眼科医のお仕事は運動不足です。外来、手術も座ったままで病棟へ出向くことも少なく、車通勤では万歩計をつけても1日2,000歩も歩いていないかもしれません。また、患者さんの体格に合わせての眼底検査や顕微鏡を覗き込む姿勢は、頸椎、腰椎への負担は大きいと思われます。

ただ自分が腰椎症になってからは同じ腰椎持ちの患者さんに優しくなったり、待ち時間も快適に座ってもらいたいと考えて待合の椅子を選ぶために何度もショールームに足を運びました。腰を痛めていると椅子は固すぎても柔らかすぎても駄目で、高価でデザインの良い椅子でも体調の悪いときに座ってみると難があるものも多々あります。最初は関西国際空港の待合にある椅子が好印象で入手できるか問い合わせたところ、関空用に特別生産されたもので販売していないとのことでした。現在の待合椅子は見た目よりも腰にやさしい座り心地を優先して選ぶことになりました。

また、腰痛は外来レイアウトを変更することにもなりました。長時間同じ姿勢で座っていると腰に負担がかかり、適度に立ったり座るなどして腰を伸ばす方が腰痛を予防できると感じます。眼科の診療はまず視力眼圧などの検査の後、中待合に座って診察室に進む動線が一般的です。これまで診察中はほとんど椅子から立つことがなかったのですが、患者さんを呼び込む時にその都度立ち上がり診察室の扉を自分で開いて呼び込むことにしました。このため自分で呼び込みがしやすいように中待合を廃止して診察室の入口を受付の横に配置しました。今ではスタッフが気を使って呼び込みに来てくれるのですが、自分で扉を開けることは待合の様子を自分の目で確認できる利点もあります。これからも患者サービスのためではなく自分のために席を立って呼び込みを続けたいと思います。


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