大和郡山市医師会広報指定席
認知症介護実践者研修を受けて
尾崎謙一先生



    認知症対応型共同生活介護(グループホーム)の介護支援専門員(計画作成担当者)を兼務している関係でさる7月25日より4日間にわたり認知症介護実践者研修を受ける機会がありました。奈良県内の特別養護老人ホーム、老人保健施設、グループホームなどから90数名の参加があり、皆さん熱心で居眠りする人はあまり見受けられませんでした。1日目は医学的理解などの講義、「認知症の人と家族の会」の代表の講演が主でありましたが、2日目からはグループ討議、グループワークに入り、活発な意見交換、発表が行われました。    

初めての経験としてブレーンストーミング法というアイデア発想法を体験しました。ブレーンストーミング法とは小グループで参加メンバーが各自が自由奔放にアイデアを出し合い、互いの発想の異質さを利用して連想を行うことによってさらに多数のアイデアを生み出そうという集団的思考法で提出されたアイデアに対する批判や判断はおこなわない、奔放なアイデアを歓迎する、アイデアの量を求めるなどのルールがあります。  

新しい認知症のケアは、その人らしさを中心におくパーソンセンタードケアであり、これまでのただ起こった問題に対処する「あきらめのケア」でなく「可能性、人間性指向のケア」であると理解しました。認知症でも感情や心身の力は豊かに残っており利用者本位、尊厳と自立を支援することが重要であると感じました。徘徊、夜間せん妄、物取られ妄想、異食などの問題行動(周辺症状)は本来の「その人らしさ」に不安、不快、ストレスなどが加わった結果、引き起こされ、作られるものであり、適切な環境とケアで不安と混乱を最小に導くことが肝要であると学習しました。参加者の中には現場の介護職員の方も多く、毎日の処理しなければならない多くの仕事量と利用者一人一人へのプラスの関わり、気づきを持ちたいという思いとの間でのジレンマが感じられました。テキストの長谷川和夫先生が書かれた「はじめに」の中の「微風に伴って木の葉の微妙な音の流れを感じるように、認知症高齢者のケアには、豊かなやさしい感性、気づきがもとめられるのでしょう」のことばが印象的でありました。  

今回のような研修をさらに多くの介護関係者の方に受けていただき認知症介護に対する理解を深め、一般の方にも啓蒙していただきたいと思います。  わが国は世界に例をみない急速な高齢化が進んでおります。団塊の世代である自分が高齢者の仲間入りをするころには、医療、福祉、介護の制度がさらに充実して安心して暮らせるせるような社会になっていることを期待します。   


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