大和郡山市医師会広報指定席
2年間で9件
塩崎裕先生



    何の数字かと言うと、日本医療機能評価機構が発表した手術の部位の左右を取り違える事故の報告で、2004年10月から06年12月の2年間の間の数字である。報告義務のある273カ所の医療機関で、手術の部位の左右を取り違える事故が9件あったと言う事で、全国的にはこれより遥かに多い数と思われる。1999年に大問題に成った横浜市立大病院の患者取り違え事故の教訓が全く生かされて居ないと言う事である。最近失敗学の権威である東京大学工学部教授の中尾政之先生の書物を読んだので、我々医学の世界にも共通する事が多々あり、一部を紹介します。      

先生によると、「失敗は予測出来る。」と言う事である。人類が出現して何万年も経つ現在、人類史上初の失敗は殆んどないと言う事である。殆んどの場合同じ様な失敗を誰かが何処かでして居る。対岸の火事と考えずに小さな失敗から留意していれば、大事故は予測出来ると言うのが、中尾先生の言葉で、ハインリッヒの法則の300例のヒヤリ・ハットの段階で対処せよと先生は説いています。「あれ?おかしいな!」と言う予兆の段階で、上司に報告し、この段階で対処すべきとしている。上司に報告するのは、どうしても良いことばかりが先行し、悪い報告は後回しに成る。違和感を感じた時点で対処すべきと説いて居る。厚生労働省の中に重要事例情報検討班という団体があり、そこに寄せられた事例、事故が、約1000例枚挙されている。

下のURLに公開されて居るが、一度アクセスして、個々の事例で自分なら、こうすると考えて見る事も大事であると思う。前述の中尾先生は失敗の三悪は「無知」「無視」「過信」と言って居る。当然の様に思われるが知らず知らずにこれらの三悪に近付きつつある自分を感じる事もある。そして慣れは狎れ、マンネリを産むと先生は説かれて居る。マンネリを避けるには、組織の中に絶えず新風を入れる事と説明されて居る。最後に私の持論を掲げて稿を閉じます。 「慣れとうっかり事故の元、一に確認、二に確認。」

最近読んだ本を紹介しました。本の名前を下記します。

1)失敗は予測できる    中尾政之著 光文社新書  700円+税    

2)失敗の予防学    中尾政之著 三笠書房  1500円+税  

3)厚生労働省重要事例情報検討班   www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/i-anzen/1/syukei4/9a.html


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