毎年の冬、父母が台湾へ帰りますので、その時、花の世話は私達夫婦の仕事になりました。そのうちに花が好きになり、特に家内は花が大好きになりました。
春が近づくと花壇の周りに植えたラッパ水仙が芽を出して、伸びて、真っ先に黄色い花を咲かせ、整然と並んで風に揺られて、少女合唱隊のように、とても可愛いです。春が来て、父と母が台湾から戻って来ると、家族揃ってリビングルームでお茶を飲みながら、花を見るのは我が家の楽しいひと時になりました。花壇の中には赤、白、黄色のチューリップが咲き始めます。母は牡丹が好きです。庭には芍薬に接木した牡丹があり、数年咲いた後、枯れてしまいました。次の春、根元から芽が出て芍薬の花が咲き、びっくりしました。でも芍薬の花も素敵です。
木の下にすずらんの群生が年々に広がり、白くて可憐な花がいっぱい咲きます。フリージアは地上に植えたので、よく踏まれて、可哀そうと思って、私はそれを鉢に移植しました。それで元気になって、今は毎年春に黄色い花が沢山咲きます。家内はいつもそのことを友だちに自慢しています。桜が咲く頃、庭には鉄線や花水木、卯の花、アザレア、ばらなどが競って白、紫、赤、ピンク等の花を咲かせます。春は美しい花が沢山咲いて楽しいです。
あじさいは日本の原産ですが、台湾故里の庭にもあじさいが一株ありました。花の色は淡い青色から深い紫に変化し、珍しくて不思議に思っていました。現在の庭に知人から色々アジサイを頂いて、初夏に紫、青、赤、白の花が元気に咲きます。家内は雨が激しい時、花が倒れそうなので、透明な傘を花に差しかけます。日差しが強い時は花が枯れないように、鉢に植えたあじさいを日陰に移動したり、室内に置き直したりします。ナメクジや毛虫があちこちに出てきて、花や葉っぱを食べるので、虫取りは家内の日課です。毎晩寝る前に懐中電灯を持って、ナメクジをいっぱい退治し、大満足です。
真夏には父が大好きなルドべギヤが元気で黄色い花をいっぱい咲かせます。羊蹄花は羊の蹄のような葉っぱを茂らせます。それを見て、子供の頃友達と木に登って遊んだ事を思い出します。数珠珊瑚が濃緑の葉っぱの中に、可愛らしい数珠の様な赤い実を付けます。これも懐かしい南国の風景です。蝉は花水木の枝でジーンジン鳴く、夏は賑やかです。
以前、秋には父が手を掛けた大輪の菊が咲き、華々しかったです。現在は自然のままの小さい赤、白、黄色の花が伸び伸びと咲きます。その頃、涼しい秋にピンクや赤のインパチェンスの花が元気いっぱい咲きます。花水木の葉っぱが赤くなり、自生のもみじも赤くなり、秋も好きです。冬には花が少ないのでいつもパンジーやジュリアンを植えます。南天は赤い実を沢山つけ、千両は青々した葉っぱと真っ赤な実が対照的でとても綺麗です。芝生が枯れて、そのかわりに生垣の北側から苔が生えてきて、緑の絨毯のようで、雪が降ると、庭が真っ白になり、南国に生まれた私はいつも見とれています。
父と母は花が好きで、特に日本の春の花が好きです。去年平成22年夏、日本は猛暑で、父は疲れました。
このため、今年父と母は日本に来ませんでした。私たちは非常に寂しい思いをしています。来年の春、体調が良くなって、また庭の花を見に来られたらいいなと願っています。