かかりつけ医推進運動について

大和郡山市医師会では本年度から平成12年度までの3年間、かかりつけ医推進モデル事業をの指定を受けました。

大和郡山市医師会ホームページを開設したのも、かかりつけ医推進運動の事業の一つであります。

ここでは、大和郡山市医師会が考えるかかりつけ医推進運動の意義と実際について、御説明致します。

かかりつけ医推進運動のポスター
かかりつけ医推進運動の意義と実際

かかりつけ医の定義と推進運動の意義
かかりつけ医推進運動を始めるにあたって、「かかりつけ医」という言葉の定義が問題となります。

かかりつけ医は、国が「家庭医(ホームドクター)」という言葉を持ち込んで来たとき、その中に英国をモデルとした人頭割当制の定額医療が隠れている事に気づいた、当時の日本医師会が対論として提唱した言葉です。

家庭医とかかりつけ医の違いは何かと申しますと、家庭医が全科的、家族単位的、診療所限定的なものであるのに対して、かかりつけ医は診療科毎、個人毎であって、何より患者自身が自発的に医療機関を選択する自由を持っているという点にあります。
従って、かかりつけ医と称せられる医療機関は何も外来機能のみの内科系診療所に限らず、様々な診療科、様々な規模の医療機関を「私のかかりつけ医」と称する住民がいることになります。

次に、かかりつけ医が備えるべき診療機能の中身をみると、色々ございますが、要は「いつでも同じ医者が診て、必要に応じて適切な医療機関を紹介する」つまり、継続性と紹介機能を併せ持っている医者と言うことであります。
この機能は、反復して様々な病気にかかる幼小児と、継続して様々な病気にかかる高齢者で特に有益であります。

一方、最近のいわゆる大病院集中型の患者受診行動をみると、上述した継続性と紹介機能を持つかかりつけ医の役割より、何でもその病院で対応して貰い、充分な検査をして欲しいという事に重きをおいている方の数が増えているようにも見えます。

しかし、その結果、三時間待ちの三分診療とか、検査投薬の重複等による医療保険の無駄遣いとか、様々な弊害が生じております。
また、そのような医療機関を選択している方のお話の中にも、「近くの診療所にかかりたいのだが、どんな先生なのか電話帳等の広告をみても判らない」とか、「大病院の先生に診療所の先生を紹介して貰おうと思っても全然ご存じないので、紹介して もらえない」とかの理由で、しょうがなく大病院にかかっておられる方もおいでになるようです。

また、今後急速に進展する超高齢化社会を考えますと、病院という施設のみで高齢者の医療需要全てをまかなう事が不可能であるのは明らかです。
すべからく、施設医療に劣らない在宅医療の充実を図らなければならなりません。

かような医療需給のミスマッチをこのままにして、大病人時代ともいうべき超高齢化社会の進展を、私達地域の第一線で頑張る医師会員が黙って「見てるだけ〜」というのは果たして許されるのでしょうか。

しかし、いくらその事が判っていても、一人一人の会員の個人的努力だけでは、如何ともできません。
このような時、大和郡山市医師会はかかりつけ医推進モデル事業の指定(1998年 4月〜2001年 3月)を受けました。

医師会がまとまって、一定の地域のまとまりの中で、かかりつけ医に対する啓蒙と会員の諸先生の自発的な努力を促す事は、誠に時宜を得た、まさに千載一遇のチャンスと言えるのではないかと思うのです。

かかりつけ医推進事業を、皆様がこのように捉えて頂ければと思うのですが、如何でしょうか。

次に、本年度かかりつけ医推進事業の具体的な内容について、概略お話させて頂きます。

本年度かかりつけ医推進事業の具体的な内容

本年度は事業開始最初の年度でございます。
それ故、上述致しましたように

「かかりつけ医という言葉の定義も含めた、かかりつけ医推進事業の意義について の周知啓蒙を、会員並びに地域住民の方々に対して行う」

これが目標、即ち、コンセプトでございます。

よって、具体的な施策はこの事を踏まえたものに致す所存でございます。

第一は、
会員の皆様に対する各種のアンケート調査を実施させて頂きます。 第一回のかかりつけ医意識調査に関しては、既に用意が整い、皆様にお送りする事ができました。

現在のかかりつけ医、あるいはかかりつけ医推進事業に対する会員各位のありのままの御認識、忌憚のない御意見を頂戴したいと考えております。

また、その他のアンケート調査も、色々な方法、種類をお願いする事になると存じます。 何卒、御協力を賜りますようお願い申しあげます。

第二は、
かかりつけ医の資格充分たる各先生の診療機能を発信して頂く事でございます。 これは、地域住民に対するという意味もございますが、それよりも、医師会員相互が各々の持つ医療資源を発信し合う事で、患者さんを適時適切に紹介する事が、より一層便利となる意義の方が大きいと考えております。

これを実現するための道具として、従来の印刷物の他に、最近話題になっておりますインターネットを用いたホームページという手法を使ってみようと考えております。 尚、これらに関わる費用については、全て医師会がかかりつけ医推進事業の中から支出し、会員の皆様には全く御負担をおかけ致しませんし、新たにパソコンを買ったりインターネットにお入り頂く必要もございません。

また、インターネットをお使いにならない先生に対する情報提供についても、医師会事務局からのFAXを用いて、充分に対応してまいりたいと考えております。

第三は、
会員の皆様、あるいは地域住民の方々に対する講演会の実施でございます。 この講演会は、色々な市の催しや、県医レベルにおける各種部会講演会等との合同実施が実現できればと考えております。
第四は、
介護保険導入に先立ち、今年度後半から実施される市の介護認定モデル事業に対する積極的な関わりでございます。 この詳細については、逐次市の担当当局とも充分な連携を図り、真に介護を必要とする患者の掘り起こしを図る事等を通じて、かかりつけ医の役割が遺憾なく果たされるような事業展開を目指してまいります。

尚、この件に関しては、福祉担当理事の中島孝之先生が御努力して頂いております。 この機会に御紹介申し上げます。

第五は、
最後になりましたが、昨年度までの病診連携事業の継続実施でございます。 開放病床の利用促進を含めた病診連携事業のより積極的な実施を図ってまいりたいと考えております。

尚、この件に関しては、引き続き病院担当理事の阿部弘毅先生に御尽力頂いております。 この機会に御紹介申し上げます。

以上、かかりつけ医推進事業の意義と今年度の具体的な事業内容について、御説明申し上げました。
平成10年 6月 4日
(文責:地域医療担当理事 藤村昌史)


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