飛行機の武装


第一次世界大戦初期、飛行機の主な任務は偵察であった。
敵の偵察機とすれ違っても、お互いに手を振り挨拶した程の
ものであった。 敵味方でなく、お互いに「空」を駆ける
同志のような連帯感が、敵味方の垣根を隠していた。
ただ、ひとたび「おかしいぞ?」と誰かが感じた時、空は戦場と
化していった。
最初は、偵察員同志の拳銃の撃ち合いから始まった。
程なく、騎兵銃やライフルが持ち込まれ、すぐに機関銃が装備
されることとなった。
飛行機が戦闘機と化した。

第二次大戦中の航空機の武装には何種類かある。
例えば魚雷なども武装であるわけだが、ここではまず戦闘機に
装備されている機関銃についてとりあげてみたい。
航空機装備の機関銃には大別して2種類ある。
1つは、主に主翼や胴体に前向きに固定して装備する「固定銃」
もう1つは、後席などの銃手が、主に後ろの敵機を狙う「旋回銃」
極一部の例外を除けば、単発単座機の武装は前方固定銃である。

前方固定銃の種類(日本軍)

有名な零戦の20mm機銃
九九式一号20mm固定機銃、主に初期の零戦や雷電などに
装備されて、大きな破壊力を発揮した。
大きなドラム型弾装が目立つが、弾丸口径の大きさなどから
60発程度しか弾が積めない。 毎分550発の発射速度なので、
10秒ほど撃てば、弾切れになってしまう。
スイスのエリコン20mmがベース。


日本陸軍御用達の12.7mm機銃「ホ103」
アメリカのブローニング12.7mm機銃を手本にした機銃だが
ブローニングの左右どちらからでも給弾できる機構を簡素化して
一方向からのみの給弾としている。
日本陸軍はとにかくほとんどの戦闘機にこの機銃を搭載している。


零戦などの胴体前方に装備された7.7mm機銃
九七式7.7mm固定機銃
第二次大戦中盤以降の、防弾の完備された近代航空戦では、
少々威力不足はいなめないが、使い勝手の良さから多用された。
零戦では1丁あたり600発の弾丸を携行できるので、信頼性
ともあいまって、頼りにされた面もある。

次項

解説見出しに戻る