飛行機の武装


機銃の命中精度
弾丸は射つだけでは意味がない。
敵に命中して初めて、ダメージを与えることができる。
機銃の命中精度を高める要素としては、
1・弾丸が銃口から放たれる速度 = 初速
2・弾丸1発の重さ = 弾丸重量
3・射撃する自機の姿勢、位置 = 射撃位置
などがある。
当然、初速は速い方が良い。
そして、初速が同じなら弾丸重量は「重い」方が良い。
但し、大口径であるほど、単位時間あたりの発射速度が遅くなる
ので、総合的な攻撃力は一長一短。
射撃姿勢は水平がベストで、位置は敵よりも高位が良い。
他にも自機と敵機の速度や、気象条件、風速、搭乗員の技能など
様々な要素が含まれる。

特に「2・弾丸1発の重さ」に関しては誤解のある面もあるようだ。
軽い方が遠くまで届きそうだし、口径の大きい(弾丸重量が重い)
機銃の方が命中率が悪いはずである。
それは間違いではないにしても、一面、違った意味もある。
弾丸の命中精度を弾丸の直進性とするならば、それを決定するのは
弾丸の持つ運動エネルギーの大きさなのである。
運動エネルギーは弾丸の速度が大きいほど、弾丸の重量が「重い」ほど
大きくなる。 ついでに言うと高位からの射撃は位置エネルギーも
味方に付けることができる。
実際、ブローニングのコピーのホ103は、射程や命中精度が
俄然劣っていた。
大きな理由は、ホ103の弾丸重量がブローニングの7割程度しか
なかったと言うことに尽きよう。
一般的に大口径銃の命中精度が悪いと言われているのは、あくまで初速と
弾丸重量のバランスの問題であり、単位時間当たりの発射弾丸数が
比較的少ないからである。

前方固定銃の種類(他国の軍)

最優秀と言っても過言ではない、アメリカの代表的機銃。
ブローニング12.7mmM3機銃
戦争中、ほとんど全ての米軍機はこの機銃だけで戦い、勝利した。
高初速の弾丸を1分間に800発前後も発射できる。
これを6丁装備した米軍機は、実質1秒間に80発もの高初速弾を
敵機に浴びせることができる。
ちなみに現用のバルカン砲は毎分6000発、1秒あたり100発。
ほとんど遜色が無いほどの威力を持っている。


ドイツのラインメタル30mmMk108
メッサーシュミットMe262に4門搭載され、発射位置に付けば
重爆でも一撃で撃破する強力な破壊力を示した。
大口径銃ゆえの発射速度の遅さを、多銃装備でカバーしている。
初速は遅いものの、毎分650発以上も発射できる。
1秒間に発射される弾丸数は零戦の20mmより多いのである。


上、イスパノスイザ20mm機銃
下、ブローニング7.7mm機銃
どちらもイギリスのハリケーンやスピットファイアに装備された。
ヨーロッパ、アフリカ、太平洋と転戦の上に歴戦を重ねた機銃で、
7.7mmは1機に12丁も搭載されている例もあるが、
戦争後半には20mmが主力になっていった。

次項

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