飛行機の動力2


革新的動力「ジェット」
通常のレシプロ機は古い機体も最新の機体も、エンジンの軸に接続した
プロペラを回転させ、それを推進力に変えている。
ところが、プロペラの回転が速くなればなるほど、プロペラの効率は
落ちていき、時速800km/h前後で限界を迎えてしまう。
プロペラ推進を用いる限り、理論上それ以上の速度は出せないのである。
この事実は何と1930年代末期には知られていた。
その限界を打ち破る動力として、ジェットエンジンが浮かんできた。

他のエンジンと同じく、ジェットエンジンにも何種類かの系統がある、
その中でも、当時開発され現在も使われている主な種類が2種類ある。

Aを軸流式と言い、現在の主流を成している。
Bは遠心式と言い、構造は簡単だが高出力向きではない。
ジェットエンジンは、前方から空気を吸入しそれを圧縮、エンジン内へ
送り込みそれに点火、燃焼した高圧ガスを後方より噴出、その噴出の
反作用を前方への推進力とするのである。
軸流式と遠心式の大きな違いは、図の赤枠の部分「圧縮機」にある。
空気を圧縮する方法の違いが両者の違いと言う訳である。
軸流式は回転するプロペラのような動翼のタービンブレードと、それに
対応しエンジンに固定された静翼の組みを何組み付けるかで、空気を
圧縮する能力が変わる。 組み数が多い程、空気を圧縮する能力が強く
高出力が得られる訳である。
組数を多くしてもエンジンの全長が長くなるだけで、航空機に対しては
設計上取り付ける事は易しい。
遠心式は圧縮機がインペラで空気を圧縮するのであるが、構造上多数の
圧縮機を取り付ける事ができないので、その能力には限界が来る。
無理矢理取り付けようとしてもエンジンの直径が大きくなってしまい、
正面面積が増大し、航空機用のエンジンに適さなくなってしまう。
ただし空気を圧縮する効率は遠心式の方が良いらしく、現在では純粋な
ジェットエンジンとしてではなく、ターボプロップエンジンに進化して
知られている。


次項

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